相手にわかりやすく、はっきり伝えようとして、「ゆっくり」話すことってありませんか。でも、それだと全然わかりやすく聞こえないことが多いので要注意、というのは、メディアトレーナーとして芸能界のトップアーティストを指導する中西健太郎さん。今回は中西さんの新刊『姿勢も話し方もよくなる声のつくりかた』より、わかりやすく伝えるときに本当に心がけるべきポイントを紹介します。
わかりやすく、はっきり話そうとするときに、「ゆっくり」話そうと思いがちではありませんか。
「ゆっくり」と思いすぎると、まったく別の聞こえ方になりますので、注意が必要です。
というのも、遅く話すことを心がけるあまり、平坦で個性のない話し方になりやすいからです。
だから、意識すべきは、「子どもに話す」あるいは「この分野では、自分より知識が浅い人に話す」という思いやりをもつことです。すると、自然とスピードが落ちて、個性や感情も消えません。
たとえば迷子を見つけたとき、「ねえねえ、どこから来たの? 大丈夫? お母さんはいなくなっちゃったの? いつまで一緒にいたのかな」などと、思いやりをもって話しかけますね。
ビジネスの場合でも、一例として、財務担当役員が社長に業績の説明にいく場面を思い浮かべてみてください。相手は社長であっても財務を熟知しているのは財務担当役員のほうですから、知識の高いほう(役員)から低いほう(社長)へ話すわけですよね。早口でまくしたてると、単語の意味や状況を把握できないため、話の内容が頭に入らなくなります。ですから、そういうときはただゆっくりではなく、自分より知識が浅い人に話すのだ、と心がけるようにしてください。
逆に、知識が同等レベルの相手とであれば、かなり速いテンポで話しても大丈夫なはずです。
たとえば、同じプロジェクトに関わるメンバー同士や、趣味を同じくする友人同士などであれば、そこは問題になりません。ゆっくりだと、むしろまどろこしく思われるときもあるでしょう。
話すテーマと相手によって、どういう話し方をするのか変えられるようになれば、あなたも声使いの上級者の仲間入りです。