アルバイトを含めた店舗スタッフを
「パートナー」と呼ぶ

「私たちの店は事実上、私たちの広告掲示板なのだ。客は店舗に足を踏み入れた瞬間から、スタバブランドの印象を持つ。ブランド構築にとって、私たちが作る雰囲気はコーヒーの質と同じく重要だ」

 これは、現在のスターバックスコーヒーを形作り、一代で成長させ、2018年6月に退任を発表したばかりの、ハワード・シュルツの言葉です(「Pour Your Heart Into It: Howard Schultz 」より)。

 この言葉からもわかるように、スターバックスコーヒーの最大のブランディングは、「店舗での顧客体験」にあります。

 スターバックスコーヒーでは、すべての従業員を、「パートナー」と呼びます。これは社員であってもアルバイトであっても同じです。パートナーの一人ひとりがスターバックスコーヒーの価値そのものであり、その成長と共にスターバックスコーヒーの成長があるという人事の哲学が込められています。

 また、日本では、2014年に800人を超える契約社員を全て正社員に切り替えています。これは、店舗で提供する価値が、単にコーヒーの質だけではなく、顧客との間で交わされるコミュニケーションやサービスであり、その付加価値を提供するパートナーを育てるためにも、時間をかけて人材育成に取り組むという決意の表れでもあります。

「接客マニュアルなし」という常識を覆す人材育成

 スターバックスコーヒーが日本に進出した際、日本サイドに合弁パートナーが存在しました。それがAfternoon Teaブランドなどで知られるサザビーリーグです。

 そのため、米国本社の完全子会社となった2014年まで、実に20年近くスターバックスコーヒージャパンは、一定の独立性をもった日本法人として、日本に根差した人材育成の仕組みを作り上げています。

 長く不景気とデフレが続いた日本では、あらゆる店舗サービスは、店舗運営の「標準化」「効率化」そして「マニュアル化」を追求し続けてきました。