吉野家とすき家の明暗

 大手牛丼チェーンの2強は明暗が分かれた。ゼンショーホールディングスの「すき家」は1店舗の閉店(店舗が入居するモール閉店に伴うもの)にとどまったが、吉野家ホールディングスの「吉野家」は41店舗を閉める事態に追い込まれたのだ。

 なぜか。実は、吉野家の牛丼に使われているご飯はガス炊きだ。

大阪ガスでは地震の揺れを感知したら自動でガスの供給を止めるシステムを取り入れており、吉野家はそのとばっちりを食らってしまったのだ。看板メニューを提供できない以上、店舗を開けることなどできない。

 すき家でも茨木市駅前店などガスが止まった店舗はあるが、メーンメニューを調理する設備が電気式のため難を逃れたという。

 幸いにも、今回の地震では津波が発生することはなく、原子力発電所は稼働し続けている。そのため、電力追い風、ガス向かい風の状況が鮮明になっている。

 関西電力の管内では、大阪府内で約17万軒の、兵庫県内で約490軒の停電が発生したものの、発生から約3時間で全面復旧した。

 一方の大阪ガスは旗色が悪い。大阪府内で約11万戸のガス供給を停止中で、全面復旧には1週間程度(25日がめど)かかりそうだ。最終的にガス漏れがないかをチェックする作業は人海戦術以外に手段がなく、約4400人態勢で安全確認作業を行っているためだ。

 関西電力と大阪ガスは、電力ガス小売り自由化の幕開けで、激しく火花を散らしているところ。福井県の大飯原発3、4号機の再稼働をテコにして、関西電力は7月に電力料金を平均5・36%値下げする。ある電力関係者は、「関西電力が『ガスよりも電気の方が安定的です』とオール電化を売り込むのは間違いない。大阪ガスにとってタイミングが悪かった」との見方を示す。価格攻勢にイメージ戦略。関西電力が猛攻の手を緩めることはなさそうだ。