4月に入社した新人(男性)を指導する道子は、総務課の社員である。彼女は新人からの質問攻め等で、教育がなかなか進まず、イライラしてきていた。彼女の行動を心配した上司(課長)は、新人が休んだある日、彼の父親から指導の件で抗議の電話を受ける。翌日、課長と新人の2人で話し合いをするも、埒が明かない。新人はどんな騒ぎを起こすのか?(特定社会保険労務士 石川弘子)
地方都市にある創業50年の部品製造加工業。従業員数は500名。堅実な社風で安定した経営を行っており、地元では名の知られた企業である。
登場人物
鈴木一郎:両親とも公務員で、教育熱心な家庭に育った新卒の男性社員。地元の国立大学出身。6月より総務課に配属された。
田中道子:短大卒業後に入社した20代後半の総務課の女性社員。総務課では、新人育成も担当している。
佐藤課長:総務課の男性課長。40代前半で、妻と2人の子どもがいる。数年前に営業から総務課に異動してきた。あまり細かいことを気にしない大らかな性格なので、部下から慕われている。
鈴木崇:一郎の父親で、50代の地方公務員。生真面目で、自分の価値観を押し付ける所がある。息子の一郎に対しては過保護。
新人のトンデモ言動に
教育担当キレる!
「いいから、言われた通りにやってよ!!」
総務課のフロアに道子の声が響き渡った。教育担当の道子は、今年入社した新人の一郎を指導していたが、何かと言うと屁理屈で返答する一郎にうんざりしていた。今日も電話対応の指導をしていたところ、一郎がこんな質問をしてきた。
「世話にもなっていない人に対して、どうして『お世話になっております』って挨拶するんですか?」