2つのエピソードからわかる
共通の心理メカニズムとは

 Aさんが語るBさんとの間に起きた2つのエピソードには、共通する心理メカニズムが働いているのが透けて見える。

 このようなケースの場合、いうまでもなく、Aさんの態度に問題があるわけではない。Bさんの認知の歪みに問題があるのだ。

 この認知の歪みを、心理学では「敵意帰属バイアス」という。それは、他者の言動を敵意に帰属させる、つまり敵意を持っているからだとみなす認知傾向の歪みのことである。

 人から何か言われた時、そこに勝手に敵意を感じ取って、

「こっちのことを見下している」
「自分の方がよくできる(知っている)と見せつけてきた」
「こっちのことを嫌っている」
「自分のことを排除しようとしている」

 などと悪く解釈する認知傾向である。 

 このようなタイプの人は、相手の何気ない言葉や態度にも敵意を感じ取り、時に親切心に基づく言動でさえ勝手に敵意を感じ、敵意を向けてくる相手に対して報復する攻撃的な行動を示す。

 AさんとBさんの間で起こった出来事で言えば、Bさんが

「指図してきてウザい」
「自分の知識をひけらかして、嫌らしい」
「手際が悪いなとバカにしていた」

 などのように、Aさんのことを悪く言い触らす。BさんはAさんに悪意があったと本気で思い込んでいるのである。だからややこしい。