しかし、北朝鮮側が外務省の報道官談話を通じ、「米国は一方的で強盗のような非核化要求だけを持ち出した」と痛烈に批判したことからも、会談がうまくいかなかったことを物語っている。

 さらに北朝鮮側は、「信頼強化どころか、不動だった我々の非核化の意思が揺らぎかねないほど、危険な局面に直面することになった」と警告。今後の協議の進め方について、「新しい方法で、段階的、同時行動の原則で、解ける問題から一つずつ解決していくことが、朝鮮半島の非核化実現への近道だ」と主張した。

会談の唯一の成果は
作業部会の設置くらい

 ポンぺオ長官は帰途、日本を訪問し、安倍晋三首相、河野太郎外務大臣に結果を報告するとともに、「日米韓外相会談」を行った。その詳細は聞こえてこないが、これまでの報道を見る限り、非核化の検証などに関する複数の「作業部会」を設置することに合意した以外、成果はほとんどなかったのではないかと言われている。しかも、その作業部会の具体的項目さえ、まだ明らかにはなっていない。

 作業部会は2007年2月の「6ヵ国協議」でも設置された。それは北朝鮮が非核化を進める代わりに、北朝鮮側が求める「安全の保証」や経済・エネルギー面での協力、日米との国交正常化を進めるという「ギブ・アンド・テーク」方式で進められた。

 ただ、その際は、北朝鮮の核施設に関する申告や、一部核施設の破壊についてこそ進展があったものの、それはあくまでも部分的であり、「核の検証」をめぐって破談した。

 にもかかわらず、今回も北朝鮮外務省は、この「ギブ・アンド・テーク」方式を主張。作業部会について「双方の首脳級で合意した新しい方式から、実務者級に任せる古い方式に戻すならば、歴史的なシンガポールの首脳会談は無意味になる」と不満を示している。