金融機関の監督官庁である金融庁はこれまで、地方銀行に対して改革を迫ってきた。しかし、金融庁はついに信用金庫・信用組合にも改革を迫るようになっている。そこで週刊ダイヤモンド2017年7月22日号「金融庁vs銀行」で掲載したランキングを再掲載する。このランキングは、金融庁が求める改革の影響がどの程度かを見極めるために、全国396の信金・信組を対象に、「収益力・効率性」「財務の健全性」「地域密着度・融資積極性」の視点から順位付けした。同ランキングの最新版は、2018年7月28日号の最新号で掲載。乞うご期待!(*肩書きは2017年7月時点のものです)

金融庁Photo:PIXTA

 今春、信用金庫・信用組合の運命を揺るがしかねないある採用募集が、人知れず金融庁のホームページに掲載された。

 しかし、募集期間は極めて短かったという。金融庁にはもともと“意中の人”がおり、事前に接触があったからだとみられる。

 募集時に公開されていた業務内容は当たり障りのない表現だったが、実はその真の任務は、信金・信組に対する改革だ。さらに、採用が内定したその人物は、信金・信組業界からそれらを監督する側の金融庁へと“禁断の移籍”を果たすという。ある金融庁関係者は本誌の取材に対して、その人物の名前こそ伏せたが、「業界内で発言力のある人」だと明かした。

 金融機関から金融庁へ──。そう聞いて多くの金融関係者が思い起こすのは、大手地方銀行である広島銀行の部長から金融庁に移った日下智晴氏だろう。

 森信親・金融庁長官は地域金融企画室を新設し、その初代室長という幹部ポストを用意して、日下氏を一本釣り。“古巣”の地銀業界に改革を迫る金融庁の急先鋒として迎えた。ある金融庁幹部は、「こちらの取り組みに対する地銀の言い分について、意味のある批判か単なる言い訳か、地銀の本音が分かるようになった」と、日下氏が加わった意義を語る。

 近く正式に金融庁に籍を移すというその人物も、業界の酸いも甘いも知る“刺客”として、信金・信組の前に現れる可能性が高い。

 そこで本誌は、そうした事態における各信金・信組への影響度を見極めるためにランキングを作成。全国約400の信金・信組を対象に、「収益力・効率性」「財務の健全性」「地域密着度・融資積極性」の視点から地域ごとに順位付けした。