現在、中国のたばこ市場で流通している高級たばこは約50の銘柄があり、その値段はワンカートン600〜2300元(1万〜3万5000円程度)であるそうだ。

  中国の見栄を張りたがる地域では、たばこをわざわざ人に見せるようにして吸う習慣があり、そこでは、どんなに無理をしてでも良いたばこを持ちたがる。中には、一般には流通していないが、ワンカートン50万〜70万円程度と日本や欧米では信じられないような高値で特定の富裕層向けに販売される超高級品もある。また、地域によってたばこは、ファションのようにその時の流行りの銘柄があり、皆一様に同じ銘柄のたばこを吸うのである。

 ちなみに、数年前にはこんな事件も起きた。ある地方の共産党幹部が、会議に出席したとき、手元にたばこを置いていた。その会議の様子をたまたまテレビが報道した際、多くの視聴者はそのたばこに注目し驚いた。その理由は明白で、ものすごく値段の高い超高級たばこだったからだ。

たちまち「公務員の給料でこんな高級たばこを買えるわけがない。賄賂だろう」と、SNS上で炎上した。案の定、その幹部は多数の企業から多額の収賄を受け取っていたことが発覚して失脚した。このような公務員の贈収賄は“氷山の一角”であるが、偶然にもたばこは「腐敗撲滅」の有力な道具となったわけである。

たばこを吸う姿が「格好いい」
映画の主人公は喫煙シーンが頻繁に登場

 たばこを吸う姿が「格好いい」と見なされ、美化されるのも一因だ。

 中国で注目され話題となっている最新の映画でも、主人公や刑事らは、たばこを吸うシーンが頻繁に登場する。最近は女性の喫煙者、「女性煙民」も増えているといわれている。

 このように中国でのたばこ事情は、ひと昔前の日本や欧米と同じような状況である。ただし、部分的には分煙が進んでいるため、先述したように、上海を訪れる日本人は「日本はまだ室内において全面禁煙ではないのに、上海のほうが進んでいる」と称賛する人もいるのだ。

 ところで、来日した中国人は日本のたばこ事情をどう思っているのだろうか。

 喫煙者に聞けば、やはり、東京都内で路上禁煙区域の多さには不便を感じるようだ。

 そもそも中国では路上喫煙に規制がある場所でも「みんなで吸えば怖くない」と道で堂々吸う人が多い。一方、日本は努力義務である場所であっても、路上で吸う人があまりいないことに驚く。

 また日本では、道路に喫煙コーナーやカフェに喫煙ルームがあるため「受動喫煙の影響が少なく、日本のほうが合理的だ」と思う中国人が多いようだ。同時に、たばこの自販機や、売店がたくさんあることには、一様に驚いている。