日本は直接の関係はなかったが、民主党のクリントン政権時代の93年秋、大統領を支え、NAFTA関連法案を米議会で通過させたのは共和党だった。民主党議員の多くは反対に回り、共和党議員が賛成に回ったからだ。

 こんな記憶が残っているため、ついつい「共和党」=「自由貿易主義者」と見がちだが、現実は大きく変化している。

「ティーパーティー」は
保護貿易主義とも親和性

「ティーパーティー」というのは、2000年初頭に台頭した。新自由主義者的な発想で国家の介入を嫌う。だが一方で孤立を恐れず、保護貿易主義にも親和性があるという。

 一部の世論調査では、共和党支持層の中で、「自由貿易協定は概して良い」と「概して悪い」の比率は半々という結果が出ているし、5月初旬にニューヨーク・タイムズ紙が実施した調査によると、78%の共和党員が鉄鋼とアルミ製品に対する関税を「認める」とした。

 通商政策をめぐる、このような共和党の変化は何をもたらすのか。

 まず考えられるのは、自らの選挙を有利に運びたいという議員の思惑に結びつくことだ。

 議員にとって、国民の間でトランプ大統領の支持率が回復基調にあることは、無視できない現実。特に共和党支持層では高い支持率を誇るトランプ大統領についていたほうが、自らの選挙に有利と考える共和党議員は多い。

 連邦議会上院のコーカー外交委員長(共和)はトランプ政権の制裁関税乱発を抑止するための法案を超党派で提出したが、11月に中間選挙を控えた米議会で「反通商戦争」的な動きは少ない。

 もちろん共和党内にもコーカー委員長のような「反保護主義」「自由貿易派」は存在する。

 米メディアによると、共和党の強力な支持者で資金源でもあるエネルギー会社経営のコーク兄弟は、「自由貿易を重視するべきだ」というテレビ広告のスポンサーになったという。

「トランプ政権は(巨額減税など)米国経済に信じられないくらいの積極的な政策を打ってきたのに、追加関税は今後の進展を損なうし、経済の潜在的な力に不必要な打撃を与える」。これが広告の文句なのだそうだ。

 また産業界も自動車への追加関税に反対の意思を示している。

 例えば、全米商業会議所は「追加的な自動車関税は米国民を貿易戦争の瀬戸際に追い詰める」との声明を出すとともに、「あなたの地元選出議員にメッセージを送ろう」という運動を展開している。