「校舎」がない、教師は「講義」も「テスト」もしない、全寮制なのに、授業はすべてオンライン……。今、こんな「ありえない大学」がハーバード大学やスタンフォード大学よりも人気を博している。その大学「ミネルバ」は、果たしてどのような授業を、世界中の才能ある生徒たちに行っているのだろうか? ミネルバ大学の仕組み、カリキュラム、テクノロジーを初めて明らかにした『世界のエリートが今一番入りたい大学ミネルバ』より、彼らの授業の秘密をご紹介しよう。
「アクティブ・ラーニング・フォーラム」という技術
ミネルバ大学は、参加者全員が集中し、学習効果を最大限に高めることが可能な独自のプラットフォームを採用した。アクティブ・ラーニング・フォーラム(Active Learning ForumTM)と呼ばれるセミナー形式の授業を運営するために最適化されたもので、従来の教室で行う授業では実現が不可能なさまざまな機能が実装されている。
すべての授業は教員を含め20人以下のセミナー形式で行われる。基礎科目や講義形式の授業は存在しない。授業には事前課題を提出した学生のみが参加でき、学生同士のディスカッションを中心に授業を進行させるため、90分間のうち、教員が話せる時間は合計10分と定められている。
これだけでも既存の教室で行われるものとは様相が異なることが予想できるだろう。
通常、大学で行われる授業は、教員と学生が教室という同じ空間でやり取りをする。黒板かホワイトボードがあり、教員が講義、学生がプレゼンテーションやディスカッションを行うような形が一般的だ。多くの授業は、教員が半分以上の時間を講義、解説や発表のフィードバック・コメントに費やし、学生の発言・グループ討論といった時間に授業の8割以上が当てられるようなことはほとんどない。