あるべき授業 ── 究極のアクティブ・ラーニングの実現

 ここからは、「どのように学習しているか」、という点について解説しよう。

 ミネルバ大学では、すべての授業を「完全なアクティブ・ラーニング(Fully Active Learning)」で行うという原則を適用し、授業における講義を禁止するなど、学生主体の学びを厳格に適用している。

 ハーバード大学前社会科学部長であり、ミネルバ大学のアカデミック部門のトップに就いたステファン・コスリン教授の定義によれば、すべての学生が授業中の最低でも75%の時間をグループワークや議論に参加するといった能動的な作業を行っている必要がある。通常の反転授業は、授業前の予習を学生に課し、講義とグループワークとQ&Aを軸に授業を進めるが、ミネルバ大学のセミナーでは学生は使用する教材の基礎知識とコンセプトを予習し、授業ではクラスメイトたちとのディスカッションやディベートの中で予習してきたコンセプトを用いることに注力する。クラスメイトや授業後の教員からルーブリックに基づいたフィードバックを受けることで、コンセプトに対する自分の理解度を確認し、強みと弱み、改善すべき点を効率的に把握することができる。

 こうした効果的なインプットに加え、ミネルバ大学では学生が身につけたコンセプトを「はじめての場所で、初体験のプロジェクトで、はじめて一緒に働く人に、学んだコンセプトが実際に有効に使えるか試すための機会」を用意している。

 学外団体とのプロジェクト学習を行い、自分がコンセプトをきちんと理解しているだけでなく、実社会で応用できるか確認することができるアウトプットを組み合わせている。このインプットとアウトプットの組み合わせを繰り返すことで、学生たちの「実践的な知恵」は鍛えられていく。