効果的なインプットを実現する少人数セミナー
ミネルバ大学は、思考・コミュニケーション技能はそれぞれの技能を構成しているコンセプトを意識しながら、繰り返し実践を積み重ねることでのみ習得できると考えている。少人数によるセミナー形式の反転授業と、実社会での経験学習を組み合わせて学習する方法を採用していることは述べた。さらに、このセミナー形式の授業には、最新技術の活用によって、従来の大学の授業では実現できなかった学生たちが能動的に授業に参加できるさまざまな仕掛けと、教員が一人一人の学生の特徴を知ることのできるサポート・システムが組み込まれている。
ミネルバ大学のカリキュラムや教授法を設計したコスリン教授は、心理学、脳科学、認知科学の分野における長年の研究から、人が最も効率よく学習できるのは以下の3つの条件が揃ったときだと主張する。
(1)脳を通常より負荷をかけた状態で稼働させる
(2)繰り返し練習が行える環境で学ぶ
(3)能動的に授業に参加できる状態
これはスポーツ選手が筋肉を鍛えるときと似ており、実際にプレーしているときをイメージしながら、自分が体のどの部分を鍛えるか意識しながら集中してトレーニングを行うことと通じるものがある。
コスリン教授が講義形式の授業を「最も学習効果の低い授業形式」と考える根拠は、講義形式では脳の一部しか使わず、積極的な参加が難しいため、徐々に集中力が途切れてしまうからだ。
「少人数、約12〜20人以下のセミナー形式が最も議論が活性化すると言われている」とコスリン教授は解説する。