地方銀行の有価証券運用に関するモニタリング結果の中間報告書金融庁が7月13日に発表した、地方銀行の有価証券運用に関するモニタリング結果の中間報告書。地銀による過度なリスクテークに警鐘を鳴らした Photo by Takahisa Suzuki 拡大画像表示

 全国に106行ある地方銀行において、株式や債券、投資信託などの有価証券の運用業務で“股裂き”状態が顕在化している。銀行の監督官庁である金融庁への忖度と、経営計画で打ち出した業績目標との間で板挟みになっているのだ。

 7月13日、金融庁は地銀の有価証券運用に関するモニタリング結果の中間報告を発表。金融庁が注視すべきだと見定めた、31先(地銀27行と地銀を傘下に置く持ち株会社4社)を対象とした調査結果が明らかとなった。

 金融庁はその中で、地銀全体で「有価証券運用への収益依存度が高まっている」と指摘した。また、自己資本や本業の利益に対して過度なリスクを取っている地銀の存在にも言及。中には、外国債券などの含み損が、本業の利益の2倍近くまで膨らんだ地銀があったことも明かした。

 金融庁はこうした一部の地銀による過度なリスクテークの実態に問題意識を持ち、この2年ほど立ち入り検査も含めた重点的なモニタリングを実施。その結果をまとめたのがこの中間報告だった。

 そして、金融庁に目を付けられたくないと萎縮した地銀の中には、「運用部門とリスク管理部門の責任者を入れ替えるところまで現れた」(国内ファンド社長)。リスクを取ってリターンを稼ぐ“アクセル”役の運用部門に、“ブレーキ”役の責任者だった人物をはめ込むことで、リスク管理体制の見栄えをよくしようというわけだ。