総務省は、ふるさと納税に関わる普通交付税措置や特別交付税を使って、名指しした自治体を実質的に締め上げることは制度上可能だが、菅氏が閣僚として目を光らせている間は、手を出しにくいことを自治体はよく理解している。
寄付金に都心回帰の恐れ
二つ目の目黒区の取り組みとは、8月からふるさと納税の返礼品として、人気音楽グループ「EXILE」のTシャツやパーカなど関連グッズを用意すると発表したことだ。
目黒区内に事務所やスタジオを構えており、紛れもない地場産品だと位置付けているわけだが、これは返礼品競争が過熱する中で、一番危惧していた事態ともいえる。
財政力の高い都市部の自治体が、企業の本社や事業所があることを理由に豊富な資金で魅力的な返礼品をかき集めれば、地方の自治体には当然ながら勝ち目はない。
目黒区以外にも、これまでふるさと納税による税収減にじっと耐えてきた都市部の自治体が、次々に本格参入することになれば、地方にもっとお金(税源)を還流させるという趣旨で始まった制度が、逆回転しかねないわけだ。菅氏に引導を渡された局長が、反対論を唱える中で最も危惧していたのも、まさに都市部の自治体の反撃による寄付金の「都心回帰」だった。今後もし都心回帰の流れが加速したとき、名指しされた自治体が税収減で悲鳴を上げたところで、耳を傾けてくれる人たちは果たしているのだろうか。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 中村正毅)



