柔軟剤や合成洗剤といった「香りつき商品」の成分で化学物質過敏症などになる「香害」被害者にとって助けになる判決が、このほど東京地裁で確定した。
香りつき商品を多数販売している花王の元従業員が、職場で有害な化学物質にさらされ、化学物質過敏症になって退職を余儀なくされたとして損害賠償を求めていた裁判での判決だ。
同地裁(梅本圭一郎裁判長)が7月2日、花王の責任を認めて約2000万円の支払いを命じる判決を言い渡したのに対し、花王は控訴せず、判決が19日に確定した。
「香りつき商品」工場での被害で
花王に賠償命令
元従業員の男性Aさん(51歳)は、1985年に花王・和歌山工場に入社し、93年から合成洗剤などの製品や原料の検査分析業務を担当して、クロロホルムやノルマルヘキサンなどの化学物質(有機溶剤)を大量に扱った。