子どもに計画性はない
スケジュールは親が立ててあげる
佐藤 合宿ならカリキュラムが決まっていますが、家ではどうでしょうか。スマホを取り上げて、「時間が空いたから何をしようかな」では意味がありません。そこで親の出番です。勉強のスケジュールを立ててあげるんです。いつまでに何をやるのか、具体的に決めてあげることが大切です。「算数のこの単元について勉強する」ではなく、「算数のこの単元を1時間で3ページ」というふうに、具体的に数字に落とし込むのがコツです。数字でやれば達成感が確実に得られます。
河端 子ども自身ではスケジュールを立てることはできませんからね。
佐藤 ええ、特に小学生にとっては難しい。でも小6までお母さんが計画を立ててあげたら、そのやり方を見て、中学生頃からは自分でできるようになります。
河端 親が見本を示すことが大事ということですね。私は、長期的なスケジュールも必要だと思いますが、短期的なスケジュールを重視した方がいいと考えています。私の本、『頭のいい子は「習慣」で育つ』にも書きましたが、田植えをするときには、足元だけを見て黙々とやった方がいい。
佐藤 なぜでしょうか。
河端 田んぼ全体を見るとやる気がなくなるから(笑)。それと同様に、勉強も長期的な計画だけではやる気が続きませんが、短期目標であれば、着実にこなしていけます。着実にこなすことで達成感を得られます。達成できたら「ほら、できたじゃないか」「君はできるんだ」と褒めてあげて、自信をつけさせる。そうすると子どもは勉強がだんだん楽しくなって、やがて自ら進んで勉強をするようになります。
佐藤 それ、大賛成です!短期目標を設定したら、小テストからやってみるといいと思います。10点満点の漢字テストとか、ああいうものなら親もチェックしやすいし、勉強すればきちんと点数が取れるようになるから、成功体験も得やすい。点数が取れるようになると、子どもはやる気になってくれるんですよね。
河端 英語で点数を取るなら、単語を覚えることです。長文読解の問題を解くにしても、文章のなかで4、5個わからない単語があったら、全体として意味がわからなくなってしまいます。逆にそこに書いてある単語の意味が全部わかれば、文法を知らなくてもおおよその内容は理解できます。したがってまず単語を覚えることが大事。ところがそういうことは学校でも塾でもなかなか教えてくれません。単語の勉強は面白くないですからね。
佐藤 英単語だけでなく古文単語も同じです。単語を覚えると、確かに劇的に点数は上がります。でもやはり辛いので、単語の暗記から逃げてしまう子も多いと思います。
河端 単語を覚えるときによくやりがちなのが、単語カードを作って、通学途中の電車のなかなどでペラペラとめくること。あれはダメ。単語を覚えるにしても、机に向かってやった方がいい。単語を覚えることも勉強ですから、きちんと時間を取って集中してやるべきなんです。
佐藤 私もそう思います。
河端 あらかじめ範囲を決めて単語を覚えて、小テストで確認する。これを繰り返し行えば、味気ない単語の学習も着実に進みます。単語に限らず、勉強のやり方そのものが間違っているお子さんは多いです。
佐藤 そうそう、やり方を間違えていますよね。スケジュールを立てるのでも、「夏休みまでに40日」と日数で考えると余裕があるような気がしてしまいますが、それは大きな間違い。40日から睡眠時間や学校で授業を受ける時間を差し引くと、実際の勉強時間は20日分もなかったりします。
私は「分に直せ」と言っています。残り時間を何日でも何時間でもなく何分で表すと、受験までの時間がいかに短いかよくわかります。時間が指の間からサラサラと砂のように漏れていくことが実感できるはず。スマホなんかやっている場合じゃないって気づきますよ。