子どもの貴重な時間を蝕む
スマホ問題をどうするか

「自ら勉強する子」にするために親ができることとは?<佐藤ママ×河端学院長 特別対談>河端真一(かわばた・しんいち)
法学博士
慶應義塾大学経済学部卒業、一橋大学大学院博士課程修了。元一橋大学客員教授。元経済同友会幹事。 大学入学と同時に学習塾を生徒5人で開き、大学卒業時には生徒1500人を擁する大手塾に成長させる。旺文社ラジオ講座「河端の東大英語」ほか、テレビレギュラー番組2本を担当。1976年株式会社学究社を設立、85年株式上場。2016年東証一部指定。東京都最大塾に成長し、自らの授業は「2ヵ月で偏差値が20上がる」と謳われる。現在、株式会社学究社取締役会長兼社長、進学塾「ena」学院長を務める。

佐藤 確かに「さあ勉強するぞ」というときに、スマホやテレビがあっては集中できませんから。最近、世界保健機関(WHO)が、ゲームに熱中しすぎる症状を疾患と認定しました。スマホやネットに依存することも同様だと思います。実は子どももスマホを「やめたい」と思っている場合も多いんです。けれどもやめられない。薬物依存みたいなものです。

河端 スマホについては親が規制すべきでしょう。ただ、佐藤さんの本のなかにあった、「お母さんが子どものスマホに五寸釘を打ち付ける」みたいなことはちょっと……。スマホを友達とのつながりと考えている子も多いわけですから。

佐藤 傷つけないようやるという配慮は必要ですね。うちでは、末の娘がスマホ世代で、四六時中LINEをしていたことがあります。しかし、「あなたの輝くような18年間を、その機械とアプリで潰すの?」と言ったらわかってくれました。そして、「家に帰ったら電源を切ること」「寝る直前に5分だけチェックする」などの決まりを決めました。

河端 ルールを決めることは大事ですね。私の塾では、自然豊かな環境のなかにある合宿所で合宿をやることがありますが、スマホやゲームは当然持ち込み禁止です。合宿は、スマホもゲームもない生活を味わってもらうことが目的でもあります。

佐藤「スマホなしでも生きていける」という体験をさせるんですね。

河端 そうです。合宿に行ってスマホもゲームもないと、手持ち無沙汰になり、子どもの心に空白ができます。心に空白ができると、素直にいろいろなことを受け入れてくれるようになります。勉強に身が入るだけでなく、自然の美しさを見て感動を味わってくれたりします。