Bさんは「23歳の、1留した就活中の文系学生」という設定で、20歳近くサバを読んでチームに入会した。

「人生でこんなに
悔しい思いをすることがあるのか」

「罪悪感は多少ありましたが背に腹は代えられません。うまくなることがすべてに優先します」

 チームのメンバーはうまかった。

「よく言われることなんですが、瞬きすることすらためらわれる瞬間の判断が問われるこのゲームで、自分に比べて若い人は反射神経が優れているように感じます。それと上達が早い。彼らに対抗するために、自分は誰よりも頭を使ってこのゲームに取り組まなければならないと思っています」

 他のチームと練習試合を重ねBさんはさらに腕を磨いていった。

「自分は誰よりも頭を使う必要がある」と考えていたBさんは、チームの戦略について有用な意見をもたらす参謀のような役割を担うようになった。また、反省会でミスを指摘し合う段になってメンバー同士が不穏な空気に包まれることも珍しくなかったが、その度にBさんは大人の懐の深さで彼らを仲裁し、いい方向に軌道修正した。やがてBさんはチームのメンバーから「頼りがいがある」と信頼を勝ち得ることになる。

 いつも一緒にプレイしている3人で大きな規模の非公式大会にエントリーすることになった。彼ら3人は強かったが、Bさんも相当強くなっている。この4人なら優勝も狙えるはずだと、Bさんは武者震いした。危なげなく初戦を勝利して、優勝が夢物語ではないという手応えを感じる。

 続いて迎えた2回戦、相手は動画投稿・配信をしている有名勢で構成された、優勝候補と目されるチームだった。赤子の手をひねるように、Bさんたちはあっけなく負かされた。