「悔しかった。泣きはしませんでしたが、人生でこんなに悔しい思いをすることがあるのかと驚きました。高校の部活の引退試合となった県予選の敗退の時もみんなでたくさん泣きましたが、あれとは別種の悔しさです。部活は、自分のチームが県内でどれくらいの強さにあるのかわかっていて順当に推移したら全国には到底いけないだろうから、最初からなんとなく諦めがついていた。

 しかし『スプラトゥーン』の大会では本気で優勝を狙っていました。界隈で有名なプレイヤーが相手でも『なんぼのもんじゃ!』と思っていましたし、相手の弱点も前もって分析できていた。その上でこてんぱんに負かされたのです。

 試合内容を振り返ればいくつかの箇所で『あそこをああすれば勝てたかもしれない』と思う部分があり、それを試合中に実行できなかった自分の実力のなさがひたすら恨めしかった。もっと上達しなければと思わされた次第です」

 大会を終えてチームのモチベーションはさらに上がり、いつの日かの優勝に向けてBさんたちは連日練習に励んでいる。ちなみに息子はまだ『スプラトゥーン』にのめり込んでいるBさんをややあきれた目で見ていて、だいぶ前に妻からは「ゲームばかりしている」と風当たりが強くなってきている。

 Bさんは妻とともに床に就いて寝たフリをし、妻の寝息が聞こえると起き出してゲームの電源を入れるという、危ない橋を渡る毎日である。

 また、チームの結束が一段と強くなったのはいいことだが、それにつれて「オフ会をしよう」という話が定期的に持ち上がっており、実際に会うと年齢詐称がバレてしまうBさんは、のらりくらりとかわしているとのことだ。

 1つのことにのめり込めるというのは素晴らしいことである。

 それが国内ではあまり市民権を得ていない“ゲーム”であったとしても、何かの道を究めんとする姿勢に貴賤はない。当記事は世間と、そして己と闘いながら高みを目指す全てのおじさんたちを心より応援するものである。