債権譲渡だけでなく、取引先企業の従業員の給与振込口座も自行に切り替えてもらうなど、メーンバンクとしての座をしっかり明け渡してもらうことで、元サヤリスクを極力抑えたいというのが受け手の銀行の本音だろう。

公取委の説明責任

 債権譲渡を迫った公取委としても、実効性を保つために元の状態にすぐに戻ってしまわないよう、仕組みづくりや働き掛けが当然ながら必要だ。

 にもかかわらず、公取委からは「自由競争を妨げるような足かせを課すことは、われわれにはできない」という声が聞こえてくる。

 取引先企業が元のサヤに収まってしまったところで、それは自由競争の結果であり、公取委としてあずかり知るところではないと言いたいわけだ。そうした中途半端な姿勢も、受け手の銀行が抱える不安をあおっている。

「審査に通すためにカタチだけの債権譲渡をし、一時的にシェアを低下させただけでしたということを公取委は許してしまうことになるが、そんなことをして一体何の意味があるのか」──。

 地域金融機関の再編を後押しする金融庁はこれまで、公取委と対決姿勢を強める中で、そう言って債権譲渡の手法を批判してきた。

 ふくおかFGと十八銀が、目の前で譲渡可能とする債権を日に日に積み上げて審査の進展を迫る中で、もし統合を承認することになれば、債権譲渡の実効性への疑問に対し、公取委は正面から答える必要が出てくることになる。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 中村正毅)