「週刊ダイヤモンド」9月1日号の第1特集は「自動車・電機・IT 40年で完成した日中逆転の全経緯」より、上海を拠点とする大手経済メディア「第一財経」による現地報道から、膨張する中国の経済・産業の様子をお伝えする。記事一覧はこちら。「一般大衆までも買える良い車をつくり、吉利の車を全世界に走らせたい」――これは吉利汽車(Geely)のオーナー・李書福氏が思い描く夢だ。(揚海艷・第一財経記者)
中国の西安から隊列を組んで出発した吉利「博越」(Geely BOYUE)チームは今年5月、ロシア、ベラルーシ、ドイツ、フランスを経て最終目的地のイギリスに到着し、経度100度の横断を達成。「博越」の安全性と高い地形適応能力は業界から好評を博した。
「博越」は吉利にとって初の世界戦略車で、昨年11月に先ずベラルーシの「白俄吉」と名付けられたCKD工場で生産を開始、今年2月にモスクワで発売され、ベラルーシ・カザフスタン・ロシア市場における吉利発展の新たな一章が開かれた。
ロシアは「一帯一路」に関連する重点国家であり、そこから放射状に伸びるベラルーシ、ウクライナを含む独立国家共同体(CIS)市場は、吉利にとって海外の重要な市場であると共に、吉利がヨーロッパ、そして全世界へ進出する上での橋頭堡ともなる。
「一般大衆が買える良い車をつくり、吉利の車を全世界に走らせたい」――吉利控股集団(ジーリーホールディンググループ)取締役会長・李書福氏は、「私にはこうした夢がある」と語る。
過去において、この夢は李書福氏にとって、あくまで「夢」だった。しかし、吉利汽車の設立から20年後、たゆまぬ努力の精神と共同開発・生産、多方面との協業イノベーションを背景に、“吉利人”は夢を現実に変えた。
模倣に依存した“1.0時代”から、「博越」などの車種を代表とする“3.0時代”の製品セルフイノベーションに至るまで、吉利汽車が遂げたモデル転換とグレードアップは、同じくモデル転換とグレードアップを目指す自動車産業にとって、手本の一つとなっている。