最後の三つ目は、燃料電池車(FCV)の中国展開である。

 今年5月には、中国の李克強首相が北海道苫小牧市にあるトヨタの生産拠点を視察。FCV「ミライ」の先進性をアピールした。

 中国からすれば、電動車の中核がEVなのでFCVの技術は要らない、ということにはならない。先進性の高い技術ならば、中国でどんどん導入してほしいというのが本音だ。一方のトヨタは、世界中でEVシフトが進む中、世界最大の中国市場を突破口に、FCV普及の巻き返しを狙っている。

 振り返れば、トヨタと中国との関係は、肝心なところでいつもギクシャクした。それが決定的になったのは、2017年に新エネ車の対象からハイブリッド車(HV)が外されたことだ。

 それまで、中国の大都市でエコカーを普及させる政策「十城千輌」には、エコカーの対象にHVが含まれていた。トヨタは中国江蘇省の常熟にHV専用の開発センターを建設して現地化に備えたが、はしごを外されたのだ。

 トヨタの中国での戦況は芳しくない。販売台数129万台という成績は、日系で最初に進出したホンダや、経営危機で出遅れた日産自動車の後塵を拝す。SUVの波に乗れなかった商品戦略、現地合弁会社のマネジメント体制など、その時々のトヨタの戦術に全く問題がなかったとはいえない。

 それでも、トヨタ苦戦の最大の原因を進出時のエピソードに求める中国関係者は多い。「トヨタは井戸を掘れなかったからだ──」。

雪中送炭を実践した
独VWは異例の「3社目の合弁」

 1978年に中国が改革開放を掲げてから数年後。外資の力で自動車産業の発展を目指した中国政府は、トヨタに強く現地化を求めた。だが、トヨタは首を縦に振ることはなかった。

 服部健治・日中協会理事長は、「中国のサプライヤーのレベルでは、日本から高価な部品を輸出するしかない。そんな高い車を中国で売っても利益が出ないので、第三国へ輸出するプランまで浮上したが断念した」と言う。