3度目のワールドカップ出場となった、ロシア大会をもって日本代表からの引退を示唆。現在はオーストラリアの強豪メルボルン・ビクトリーFCで現役を続けながら、カンボジア代表の実質的な監督にも就任した本田圭佑もかつて、Jリーグの外国籍選手枠の拡大を訴えたことがある。

「外国籍選手枠を5ないし6に広げることが、Jリーグのレベルアップにつながると個人的には思っている。日本人選手が出られなくなると言われるかもしれないが、厳しい環境の中で競わないといけない。その中で生き残った選手たちで構成される日本代表は、絶対に強くなるので」

 ならば、図らずも外国籍枠が拡大あるいは撤廃された場合のモデルケースとなった、8月以降のヴィッセルが描いた軌跡はどうなのか。11日のジュビロ戦で今夏にJ2のFC岐阜から加入した23歳のFW古橋亨梧が、19日の湘南ベルマーレ戦では青森山田高卒のルーキー、19歳の郷家友太と期待の若手選手たちがそれぞれJ1初ゴールを決めている。

「イニエスタ選手からは紅白戦の時に『もっと君のよさを出していいよ』と言われていました。僕のよさは前へ出て行くことだと再認識して、ポジティブな気持ちで試合に臨めました」

 中央大学から加入した岐阜で結果を出してヴィッセルに見初められた古橋が、新天地での2戦目にして出した結果に笑顔を見せる。U‐19日本代表にも選出されている東京オリンピック世代のホープ、郷家は相手ゴール前へ猛然とダッシュし、ポドルスキが放ったシュートのこぼれ球を押し込んだ泥臭いゴールに、自身の中で生じている変化を感じずにはいられなかった。

「前半戦の自分なら、もしかしたらあそこまで詰めていないかもしれない。その意味では、後半戦は上手く気持ちを切り替えられているのかなと思います」

 古橋も郷家も、ともにワールドカップを制した経験を持つ2人のビッグネーム、イニエスタとポドルスキが魅せる存在感に触発され、急成長を遂げていると言っていい。外国籍選手がチームに与える個の能力の高さと、日本人選手全体に共通する勤勉さが融合しつつある現状に、昨シーズン途中からヴィッセルを率いる吉田孝行監督も手応えを感じつつある。

「チーム内でいい競争ができている。自分たちのスタイルに合った選手を獲得したので、(新加入組は)スムーズにチームへ入っていけていると思っています」

 6人の外国籍選手を同時起用している間に17歳の久保にゴールされたマリノス戦は、最終的に0‐2の完敗を喫した。順位こそ5位に後退したが、目標のひとつとして掲げている、来シーズンのACL出場権を獲得できる3位のFC東京との勝ち点差は5ポイントと射程距離にある。

 今シーズンも残りは10試合。ルールの範囲内で他チームと一線を画す陣容を整えたヴィッセルが今後の戦いで刻む軌跡が、結果だけでなく日本人選手の活躍ぶりを反映した試合内容を含めて、Jリーグ内で継続される外国籍選手枠撤廃に関する議論にも大きな影響を与えてくる。