もちろん、過去に横領や収賄事件が立て続けに発生し、疑われる原因を作ったことは公務員自身の責任でもある。しかし、実際に犯罪に手を染めている公務員はごく一部に限られる。2016年の公務員犯罪で横領の起訴件数は13件、収賄は22件である。[*1]

 全国340万人の公務員が2、30名の行ないによって、その全体の動きを縛られることはマイナス面に働くことの方が大きくないだろうか。

[*1]平成29年版犯罪白書「公務員による犯罪 検察庁新規受理・終局処理人員」

活躍する公務員にも光を当てるべき

 極論だが、もし日本全国から公務員という存在をなくすことを目的とするのであれば、公務員バッシングを徹底的に行う価値があるかもしれない。しかし、公務員が日本からいなくなることなど、バッシングを行う住民やメディアですら現実的に望んでいるわけではないだろう。

 だとすると、公務員へのアプローチは、中傷ばかりではなく、考えや行動の質を高められるよう、提言型のスタイルをとる必要がある。そのためには、バッシングの陰に数多く存在する、成果を上げた公務員に光を当てるべきではないだろうか。なぜなら、成果を上げる公務員の考えや行動には、行政組織全体の成果を底上げするヒントに溢れているからである。

 批判を展開するのは自由だ。しかし、非建設的な公務員批判はその批判を展開する者も含め、「国民全体に損害を与える」という事実は認識されるべきだろう。 “公務員”は職業として総称することができても、批判対象として一括りにできるものではない。340万人の公務員には一人ひとりに個性があり、心が通い、彼らにも家族が存在するのである。

 最後に話を戻したい。1年前に筆者の脳裏に刻まれた「公務員を調子に乗らせて何がしたいのか?」という問いにはこう応じたい。「公務員を調子に乗らせて何が悪いのか?」と。

(株式会社ホルグ代表取締役社長 加藤年紀)