6年後、会員構造がすべて入れ替わる!
その調査会社からは、こんな警告も受けました。
「今の営業手法を継続すると、6年後には会員構造が激変し、底が抜けたバケツのような状態になる。急激に新しい大量の水(新規加入者)が入るために、重みでバケツの底が抜け、それまで入っていた水(既存加入者)も押し流される(解約する)」
「6年後にバケツの底が抜けたようになる」という指摘に私は衝撃を覚えました。
会員構造が入れ替わるとは、ざっくりと言えば、長期間継続してくれる優良な顧客がいなくなり、何かのきっかけで加入しても、すぐに解約してしまう顧客が多くなるので、常に滑車を回すモルモットのように加入を獲り続けなければ会員構造を維持できなくなるということです。
加入者から毎月いただいている視聴料で経営しているサブスクリプションモデルのWOWOWは、長期加入者をベースに、新規加入者が加わることによって年々総加入者数を増やして安定的な経営をもくろむというビジネスモデルです。
しかしその分析結果によれば、状況はもくろみとは逆の方向に向かっていました。つまり、ビジネスモデル本来のあり方を崩す方向に進んでいたのです。
この結果が示すように、解約が増加する状態をこのままにしておくと、暗澹たる未来がやってくる可能性があることはマーケティングを始めたばかりの私にも分かりました。
ところで、なぜこの調査会社は「6年後」と予測できたのでしょうか。
その理由は、同様の状況を放置した結果、会員構造が維持できず破綻の道をたどった他の会員制企業の実例があったからです。
次回は、その時調べた他社の実例の中から、当時のWOWOWに状況がよく似ていると感じた例をご紹介します。
(続く)