災害発生時に停電になった際、エレベーターやスプリンクラーといった設備を動かすために使われる非常用発電機。しかし、大規模な病院や主要な公共施設でさえ義務づけられている点検を怠っており、万が一の際に作動しない可能性がある。その実態を追った。(ライター 河鐘基)
災害続きでようやく高まってきた
非常用発電機点検への関心
「では始めます。3、2、1、始動!」
7月3日、大阪・梅田の商業ビルの屋上。炎天下、10人ほどの男性が、非常用発電機に接続された1台の機器を囲んでいた。
彼らが囲んでいたのは、災害などで停電になった際、発電機がエレベーターやスプリンクラー、消火栓ポンプなどを動かせるかを試す負荷運転の専用試験機だ。この機器の使用法の研修に来た電気工事業者たちが集まっていたのだ。
「ここ1~2年の間に、ようやく負荷運転に対する関心が高まってきました」
こう語るのは、負荷運転試験の普及に取り組むエフティグループ(FTG)の安藤暢彦・新規事業推進室長だ。