1日「15~30分」の瞑想で人生が大きく変わる
次の週末にさっそく手法を学び、それから1日2回、15分から30分ずつ瞑想するようになった。かれこれ30年以上も前のことだが、瞑想はいまも私の人生を支える柱となり、とほうもない恵みを与えてくれている。
その影響を肌で感じてきた私にとって、瞑想が心身に与える効果が次々と明らかになっていることは、意外でも何でもない。
アメリカではいまも瞑想はひどく誤解されている。日常的に瞑想する人の数が大幅に増え、超越瞑想を習得した人は全米に600万人いるともいわれるのに、たいていの人は瞑想と聞くとエセ宗教的な慣行を連想し、その効果を認めもせず、理解もせずにいる。
この信じがたいほど変化の早い時代、さまざまな刺激が感覚に集中砲火を浴びせ、私たちの注目と関心を得ようとする世界にあっても、瞑想さえすればそうしたすべてから逃れ、真の孤独と平穏の場所に、しかもまったくお金をかけずに行くことができる――そういわれても、瞑想を学んだ人でなければ、にわかには信じがたいだろう。
瞑想を簡潔かつ正確に説明する一文を最近読んだので、紹介しよう。
「瞑想がめざすのは、思考を支配することではなく、思考に支配されないようにすることである」
これまでに指摘されてきた瞑想の効果は、ほとんど奇跡のようにも思える。
医療の必要性が全般的に減り、冠動脈イベントの発症がほぼ半減し、高齢者のQOL(クオリティオブライフ。生活の質)が高まり、寿命が延び、不安やうつが減り、知性と創造性が促され、ぐっすり眠れ、しあわせな気持ちになり、禁煙の役にまで立つというのだから。
たしかに、かつては信頼性に欠ける研究も多かった。それにこんなに簡単に誰にでもできることなのに心身の健康を大いに増進できるだなんて、できすぎた話に思えるかもしれない。しかし、そんな懐疑主義も徐々に消え去ろうとしている。瞑想が心身の働きに影響をおよぼすことに関してもはや疑いの余地はない。
瞑想が多くの疾患や症状を改善し、命を救う場合さえあることまで、科学的に証明されつつある。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の精神科医レベッカ・グラディング博士は、心理学分野の専門誌『サイコロジー・トゥデイ』に2013年に書いている。
「瞑想のよさを絶賛する声を、あなたもきっと聞いたことがあるでしょう。生活のあらゆる場面に役立つなどという話を、眉唾だと思う人もいるでしょう。でも実際そうなのです。1日15分から30分間瞑想することで、人生への向き合い方や、ものごとのとらえ方、人とのつきあい方が劇的に変わるのです。共感力が高まり、ものごと(や自分自身)がはっきり見え、名状しがたい静謐と平穏を感じることができるでしょう。瞑想に代わるものはありません」
(本原稿は書籍『ハーバード医学教授が教える健康の正解』からの抜粋です。続きは本書でお楽しみください)