オメガ3たっぷりのサバ缶が、
女子の心をつかむ「コスメ」状態に

サヴァ缶
サヴァ缶

 一方、サバ缶にも新たなトレンドが生まれていた。2013年、岩手県から缶詰界のエポックメイキングな商品「サヴァ缶」が誕生したのだ。インテリアに使えそうなスタイリッシュなパッケージ、これまでにないオリーブオイル漬、レモンバジルといった、サラダやサンドイッチ、パスタなど洋風メニューにぴったりのサバ缶はたちまちブレイク。

 メーカー各社からも立て続けに、パッケージデザインを工夫した「おしゃれサバ缶」が登場。味付けもアヒージョ、トマト風味、マリネなどあきらかに女性をターゲットにした商品が増加した。
 
 ここで、驚くべき現象が起きる。「おしゃれ」だからサバ缶を買ってみた、という女性が登場し始めたのだ。

「サバ缶を食べたことがないけれど、かわいいから買ってみた。買って食べてみたらおいしかった」

 完璧なサバ缶の「ジャケ買い」である。

 水産加工品で女性を意識した「おしゃれなもの」は、これまでほぼ皆無だった。なんであれ「見た目」も大事。新たな消費者を獲得できたのだ。

 そして、「サバ缶」は美容・健康によいとされる不飽和脂肪酸オメガ3のEPAとDHAをたっぷり含んでいる。サバ缶1缶で、いとも簡単に、あきれるほど安く、1日に必要なオメガ3を摂取できてしまうのだ。

 かくして女性誌にまたまたサバ缶が頻繁に取り上げられはじめた。おしゃれなうえに、美容にも効果絶大な「コスメ」として、とりわけ、若い女性に注目されるようになっていったのだ。

サバ缶の生産量がついにツナ缶超え!
“不毛の地”でも大ブレイク!

 その後も、テレビはじめメディアで、頻繁にサバ缶の「認知症予防」「学習機能向上」「血管の若返り」「ストレス軽減」「美肌」といった栄養効果が取り上げられるようになる。

 そんな露出を受けてメーカーもサバ缶のラインナップを増加。味付けも洋風以外に、西京焼き、焼き鯖、燻製、竜田揚げ、野菜入りなど、工夫をこらした商品が次々と販売された。他の魚介系缶では考えられないほど、ラインナップが多彩になった。

 そして缶詰業界を震撼させるビッグニュースが発表された。2016年、サバ缶が生産数1位の座に躍り出たのだ。 缶詰の生産量は長年ツナ缶がトップの地位を誇ってきた。しかしこの年、サバ缶は3万7117個で過去最大となり、ツナ缶を上回った。