「あなたは人生というゲームのルールを知っていますか?」――そう語るのは、人気著者の山口周さん。20年以上コンサルティング業界に身を置き、そこで企業に対して使ってきた経営戦略を、意識的に自身の人生にも応用してきました。その内容をまとめたのが、『人生の経営戦略――自分の人生を自分で考えて生きるための戦略コンセプト20』。「仕事ばかりでプライベートが悲惨な状態…」「40代で中年の危機にぶつかった…」「自分には欠点だらけで自分に自信が持てない…」こうした人生のさまざまな問題に「経営学」で合理的に答えを出す、まったく新しい生き方の本です。
この記事では、読者から山口氏に寄せられた人生相談に対する回答を掲載します。(構成:小川晶子)
Photo: Adobe Stock
<質問>
妻からの冷たい仕打ち。どうすればいい?(50代・男性)
妻との仲についての相談です。子どもが成人してこれから夫婦2人の時間ですが、妻から避けられ、冷たい仕打ちを受けています。
何かもの申したいときしか口を開かず、食事は米と納豆と卵を買いそろえるだけで一切準備なし。リビングにも入るなと言わんばかりに一人がけのソファーのみ置いているなど、多数の仕打ちを受けています。
仲良くとは言わないまでも、人として最低限の対応くらいできないのかなと思います。原因を聞いても「覚えていないのか」としか言いません。5年前に家で暴れたことが原因かもしれませんが、それ以前から私を排除する行動はありました。どうすればいいでしょうか?
<山口周氏の回答>
夫婦関係も「オピニオンかエグジットか」
選択肢は2つしかないと思います。
1つは、「関係を改善したいので、改めるところがあれば改めたい」と対話を試みること。原因を聞いても「覚えていないのか」と言うばかりとのことですが、「覚えていません、ごめんなさい」と言って、教えてもらわなければ埒があきません。
対話が成立しないのであれば、もう1つの選択肢すなわち離脱です。
開発経済学者のアルバート・ハーシュマンは、組織における衰退への反応は「忠誠・発言・離脱」の3つだと言いました。組織に対して基本的に人間の取れるアクションは、忠誠を誓うか、発言するか、離脱しかないのです。僕はよく「オピニオンかエグジットか」と言っています。
夫婦関係においても同じです。ご質問者の場合、忠誠というオプションはありえないでしょうから、オピニオンかエグジットしかないのです。
(※この記事は『人生の経営戦略』を元にした書き下ろしです。)





