世辞に長けた人は、よく、物事はバランスが大切だ、などとおっしゃいますよね。
なるほど、そうかもしれない、とも思いますが、本当にそうなのでしょうか?
全ての人にとって幸福の総量は一定だとすれば、何処かでとてつもない至福の時を得たら、別の何処かでそれに見合う辛酸を舐めている、ということかもしれません。
要するに、バランスの取り方は、千差万別ということです。
全てにおいて平均的に出来るというのもバランスでしょうし、全てにおいて微温的で破綻も飛躍もなくて、全体の帳尻が合うのもバランスです。
あるいは、局所的に異能を発揮して凄いのだけれど、他のところではからっきし駄目というバランスもありでしょう。
極論すれば、バランスには2種類あるのです。一つは、常識的な枠の中で成立する中肉中背的なバランスです。もう一つは、常軌を逸した彼岸で成立する振幅の大きいバランスです。
と、言う訳で、今週の音盤は、ロドリーゴの「アランフェス協奏曲」(写真は、ジョン・ウィリアムス盤)です。