「19box.me」のトップ画面。検索窓に好きなアーティスト名を入れるだけで、エンドレスのジュークボックスがスタート。

 CDが売れない時代になってから久しいが、その理由の1つに“好みの曲に出会う機会の減少”がある。

 テレビやラジオの音楽番組は、アーティストの所属事務所やチャート、タイアップの有無を出演基準にしており、一方でケーブルテレビなどの専門チャンネルは嗜好性が高く、好きな人しか好きな音楽を聴かない状況となっている。一昔前は色々な音楽が“勝手に”耳に入ってきたのだが……。

 そんなモヤモヤを抱えている方に、オススメのウェブサービスがある。Seesaaブログを運営するシーサー株式会社提供の「19box.me」だ。“ジュークボックス・ミー”と読む。

 使い方はとても簡単。検索窓に好きなアーティスト名を打ち込むと、プレイヤーが表示され、似た傾向のアーティストの楽曲を、まさにジュークボックスのごとく次々と再生してくれる。

 CDの盤面のようなアートワークをクリックすれば、手動で前後の曲を選択することも。気に入った曲やアルバムがあれば、Amazonで購入できるようにボタンがついている。音源はYouTubeであり、あくまで再生を目的としたサービスなので、楽曲のダウンロードはできない。

「サービス開始は2011年の8月。事前告知は全くしていなかったのですが、リリース当初からtwitterを中心に口コミで広がり、想定していた以上のユーザー様にご利用いただいています。開発のきっかけは私自身の思い入れです。常に新しい音楽に出会いたい欲求が強く、求める音楽にうまく出会えるサービスがあればと、ずっと考えていました」(シーサー株式会社 新規事業開発部 長村新さん)

 イメージは、「初めて行くカフェで流れるBGMについて、店員さんに『この曲、なんていう曲?』と訊ねる感覚」。他の音楽再生サービスに見受けられる、プレイリストや一時停止ボタンが設定されていないのは、店内に流れるラジオやBGMをイメージしているがゆえだ。

「とにかく気楽に、そしてシンプルに音楽を楽しんで欲しいですね。それまで知らなかった自分好みの新しい曲、アーティストとの出会いの助けになれば、という想いがあります。今後は音楽とは別に、“自分の知らない◯◯に出会える『◯◯.me』”のような展開ができれば面白いかも」(同氏)

 課金はAmazonへのアフィリエイトのみ。収益化は考えておらず、Amazonへのリンクも、「『欲しい』と思った商品をすぐに購入してもらうために置いてあるだけ」という。

 ユーザーからしてみると、久々に“音楽に出会った”この感覚、非常に心地よい。

(筒井健二/5時から作家塾(R)