そこでふと立ち止まって「自分の考えは相手にとって受け入れられるものか?」と考えられる人は心配ありません。しかし、「自分は立場が上だからOK」という考えの人だと、さらに輪をかけて強い言葉を続けてしまう可能性があります。

 その結果、耐えられなくなった部下が、やりとりされたメールや罵詈雑言を録音したデータを手に人事部に駆け込んだり、あるいはSNSで拡散したりして、ハラスメント認定を受けることになるわけです。

 役職が上であれば、より一層、言動は謙虚になるべきです。そうすれば、ハラスメントを避けるという「マイナスの回避」だけではなく、「より部下から信頼される」「部下から相談を受けて多くの情報を得る」という「プラスの効果」も期待できるからです。

「あいつは女として終わってる」
セクハラ言動を平気でする“おっさんたち”

 以前、とある東証一部上場の日本企業で部長職を務める男性と、その部下の方々との宴席に呼んでいただいたことがあります。その部長の男性は、部下の人たちとはよく飲みに行くらしく、宴席では部下の人たちとも親しく会話をしていて、仲の良さが伝わってきました。お酒が進むに従って、部下の人たちが宴席における部長の過去の振る舞いを暴露し始めました。

「オープンな関係なんだな」と思う一方で、「ちょっと下品だな」と思うような内容もありました。その中で、過去の宴会で女性の部下に対して小学生がやるようなイタズラ、それも、性的なイタズラをしたという話が出ました。

「おいおい、それは完全にアウトだろう…」と思ったのですが、どうやらその宴席においては、皆が面白がって終わったそうです。その話が出た時、その部長は特に悪びれるでもなく「いいんだよ、あいつは。女として終わってるんだから」と言い放ちました。この瞬間に、「あぁ、これがセクハラがなくならない大きな原因の1つなんだな」と実感しました。

 これは、「相手との距離感を勝手に定義している」状態です。相手の女性は、どのように感じていたのかはわかりません。ただ、「女性として終わっている」などという発言は、絶対に受け入れられるものではありません。

 そのような行為が衆人環視の中で行われ、「相手は女性として終わっている」という一方的な決めつけをしているのは、決して許されるものではありません。ビジネスの世界でのつながりは、常に敬意を持って行われるべきだと私は思いますし、グローバルビジネスにおいては当然の常識として受け入れられています。性別に関する話題を出すこともNGですし、ましてやそれを揶揄したり否定したりすることは、絶対に許されないものです。