森保ジャパン9月7日、森保ジャパンのメンバーが約200人のファンやサポーターと撮った集合写真 写真:JFA提供

最大震度7を観測した北海道胆振東部地震の発生を受けて、7日に札幌ドームで予定されていたチリ代表との初陣が中止となった新生日本代表。舞台を大阪・パナソニックスタジアム吹田に移し、11日のコスタリカ代表戦に臨む森保ジャパンの顔ぶれは、日本中を熱狂させた先のワールドカップ・ロシア大会で躍動した西野ジャパンから一新され、23人の平均年齢もちょうど3歳若返った。東京オリンピック世代となるU‐21日本代表監督も兼任する、森保一新監督(50)が進めていくチーム作りの意図を、札幌の地における経験を踏まえながら紐解く。(ノンフィクションライター 藤江直人)

北海道で大地震が発生したその時、
日本代表選手たちはどう過ごしていたか

 電気が止まり、真っ暗闇となったホテル内の階段を壁伝いにゆっくりと降りていく。いつ余震が襲ってくるかも分からない恐怖に駆られながら、日本代表の選手たちは努めて冷静さを保ち、一緒に階下へ向かっていた他の宿泊客たちに優しく声をかけ続けた。「大丈夫ですか」と。

 6日午前3時8分に発生した、最大震度7を観測した北海道胆振東部地震。最新のFIFAランキングで12位の強敵チリ代表と札幌ドームで対峙する、新生日本代表の初陣となる7日のキリンチャレンジカップ2018へ向けて、3日から札幌市内で合宿を行っていた選手たちもパニック状態に陥った。

 チームは札幌市の中心部からやや離れた場所にある、高層ホテルの上層階のワンフロアを借り切る形で宿泊していた。寝静まっていた時間帯に突然叩き起こされ、直後に全館が停電となった状況を、DF槙野智章(浦和レッズ)は生々しく明かしてくれた。

「ものすごい音とものすごい揺れで、みんないっせいに部屋から飛び出しました。そのまま廊下に集まって『どうしようか』となったところへ、ホテル側から『貴重品を持って下の大部屋に集まってください』と指示がありました。とにかくバッグを持って下へ向かいました」

 目指したのは2階の食事会場。おそらく2時間ほど待機しただろうか。窓の外がやや明るくなるまで思いの丈を語り合った中で、槙野が音頭を取る形で、ある行動を起こそうと一致団結した。