さて、銀行の「本業」として意識されることの多い法人向けの融資は、「貸しても大丈夫な先の資金需要」が細って、量も利益も縮小気味のビジネスだ。

 貸し出しに回せない資金については、有価証券運用に回して利益を稼ぐのが少し前までの多くの預金金融機関の“逃げ道”だったが、日銀の低金利政策による長期金利の低下によって、この収益獲得チャネルが細った。

 その結果、現在の地方金融機関(地銀や信金・信組など)は、(1)貸家向けを中心とする不動産向けローン、(2)カードローンによる個人向けの貸し付け、(3)主に私募投信による含み損の計上を避けつつのリスク資産運用、といったいずれも極めて筋の悪い収益の数字作りに走っていて、その歪みの一端がいち早く世間に露見してしまったのが今回のスルガ銀行事件だった。

行き詰まりは「日銀の政策のせい」ではない!

 地方金融機関のビジネスの行き詰まりについて、地方の人口減少などに加えて、「日銀の金融緩和政策の副作用のせいだ」という議論があるが、これは正しくない。

 これまで、長期金利に連動するプライシングを行ってきた各種のローンの金利が(例えば住宅ローン金利が)、日銀の政策による長期金利の低下によって低下したので儲からなくなったというのは、この間の現象の叙述として一定のリアリティがある。

 しかし、金融機関の債務者の評価に基づく資金供給や、情報提供・経営相談などのサービスに真に経済的な付加価値があるなら、長期金利がゼロでも「短期金利」プラス「スプレッド」の形でも貸し出しは可能なはずだ。

 そもそも、金融機関自身のサービスに、顧客から見て付加価値がないことが問題なのだ。日銀の政策のせいではない。多くの金融機関が現状のサービスを提供する限り、世間から見て既に不必要になりつつある中で、とりわけ地方金融機関のビジネスモデルの行き詰まりは覆いがたい。

 地方金融機関のビジネスが先細りになることは、前々から行政にも見えていたことではないかと思われるのだが、1990年代から2000年代にかけて不良債権問題に絡めて大手銀行を再編したところで、間をおかずに必要だったはずの地方金融機関の再編をさぼってきたことのツケが遠からず問題になりそうだ。