「目標があれば2㎏ぐらいのダイエットは楽勝よね。それに4泊5日の間、家事も仕事もしないでのんびり過ごすだけで20万円もらえるなんて、人生の夏休みって感じ。いいよね」

 友人と一緒にぺちゃくちゃおしゃべりしている楽しげなイメージが、頭のなかに湧いてきた。

「4泊5日は長いけど、病院で、低カロリー高タンパクの身体にいいものばっかり食べてさ、なんかすっきり健康になれるような気がするんだよね」

 友人も同様のロマンを感じているらしい。というのも彼女、以前一度、治験に参加したことがあった。それは1泊2日の入院で行うサプリメントの治験。相部屋の参加者とも仲良くなれて、お小遣い稼ぎもできて、いいこと尽くしだったという。

 治験ボランティアは、主婦の間でひそかなブームになっている。

(4泊5日って、なんの治験かしら。閉経後の女性の健康増進に役立つ薬とかもいいよね。でもそんな長いこと、家を空けても大丈夫かしら)

 紘子さんの家は、夫婦と社会人の息子と大学生の娘の4人家族、プラス犬1匹。

 治験の予定日は8月下旬。娘に相談するとうれしそうに賛成してくれた。

「絶対参加して。夏休み中だから、私も家事できるし。ぜんぜん問題ないよ。いいなぁ。私、前から一度、治験バイトってやってみたかったんだ。試しにやってみて、どんな感じか教えて」

「バイトじゃないの、ボランティア。社会貢献なのよ」

 苦笑いしながら反論したが、紘子さんも本音はバイト気分。昔から、治験といえば、病院で行われるちょっと怖い高額バイトの代表でもある。好奇心で胸が高鳴った。

 そして、紘子さんは治験参加を決めた。