世界標準の教養として、特に欧米で重要視されているのが「ワイン」である。ビジネスや政治において、ワインは単なる飲み物以上の存在となっているのだ。そこで本連載では、『世界のビジネスエリートが身につける 教養としてのワイン』の著者であり、NYクリスティーズでアジア人初のワインスペシャリストとしても活躍した渡辺順子氏に、「教養としてのワイン」の知識を教えてもらう。

シャンパンはなぜあれだけ高いのか?

 ボルドー、ブルゴーニュと並び、その地位を世界に知らしめているのがシャンパーニュです。その名からも想像できる通り、日本人にも馴染じみ深いシャンパンを生産しています。シャンパンはよくワインの一種だと思われがちですが、シャンパンを名乗れるのはフランスのシャンパーニュ地方でつくられ、かつ法律に規定された条件を満たしたものだけです。

 そのブランド管理は徹底されており、フランスのとある有名ブランドがシャンパンという名の香水を発売したところ、すぐに販売差し止めとなったくらいです。以前は、「シャンパン」と記載されたカリフォルニアの発泡性ワインを見かけたことがありましたが、今ではそれもなくなりました。日本でも、明治初期から使用されていた「シャンパン(シャンペン)サイダー」や「ソフトシャンパン」といった炭酸飲料の名称が使用禁止となっています。

高級シャンパンの代名詞といえる「ドン・ペリニヨン(通称ドンペリ)」Photo:Zachys

 シャンパンは品質管理も徹底しています。たとえば、シャンパンの要である発泡は、瓶内二次発酵されたものだけに限られます。瓶内二次発酵とは、瓶詰めしたワインに糖分や酵母を加え再び発酵させ、炭酸をつくり出す方法です。ワインに炭酸を入れたり、タンクで発泡されたものを瓶詰めしたものはシャンパンとは認められません。

 さらに、使用できるぶどう品種(主にピノノワール、ピノムニエ、シャルドネ)や熟成期間、ぶどうの収穫量、最低アルコール度数なども厳しく定められています。シャンパンがブランドとして確立されているのは、こうした厳しい規定で品質を守り、徹底した管理でブランドを守っているからなのです。大のワイン好きであり、遠征先にもワインを持ち込むほどだったナポレオンが「シャンパンは戦いに勝ったときは飲む価値があり、負けたときには飲む必要がある」と言ったというのにも納得できます。