AIやロボットの進歩だけでは
警備員はますます窮地に

「将来的にはAIや警備ロボットなどの技術の進歩によって、そもそも警備員の存在すら不必要になるのではないか」と思われる読者もいるかもしれない。このもっともな疑問について田中氏は以下のように答える。

「AIや警備ロボットの方が人を雇うよりもコストが安くなれば、人的警備の淘汰が進むことが予想されます。ただ、警備会社の多くは中小企業のため、コスト面からAIや警備ロボットを導入できない可能性が高い。もし一部業務で導入したとしても、それらのコストと同等になるように警備員の給料を下げることが予想され、生活に困窮する人が続出することもあり得るし、当然ながら警備の質の低下も避けられません」

 田中氏によれば、現在、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、AIや警備ロボットを活用した警備方法が試行されているが、警備員の専門性を伸ばそうとする動きは見られないという。

 これまで警備業界では、業務別教育を行なって警備員の専門性を向上しようと取り組んできた。ところが現在は、AIや警備ロボットにばかり熱心に取り組んでおり、警備員に対してはこれまでとは真逆の方策を取っているというわけだ。このままでは、「専門性が低くて貧しい警備員」と「高性能なAIや警備ロボット」の二極化が進むことは避けられないと田中氏は危惧する。

 ちまたでは「AIに仕事を奪われる」ことが話題となっているが、警備業界はその最たる業種の1つともいえる。多くの他業種と同様、合理化が進む時代にあって、警備ビジネスも大きな転機を迎えているのかもしれない。