また、初日の首脳会談は、迎賓館ではなく北朝鮮の政治の中心である朝鮮労働党本部で行った。それだけ北朝鮮は、韓国との特別な関係を重視していることをアピールしたかったのだろう。そして、金正恩委員長が初めてソウルを訪問し、次回の首脳会談を行うことで合意した。

 北朝鮮首脳のソウル訪問は韓国にとって長年の懸案であり、それを実現するためなら韓国はできる限りの支援をするだろう。それには、2回目となる米朝首脳会談の仲介の労も含まれる。

 しかし、こうした友好姿勢は、北朝鮮の基本姿勢の変化を意味するのか。それを読み解く鍵は、非核化問題について北朝鮮がどのような姿勢を示すかで見る以外にない。

いったん交渉を始めると
意図や目的は読みやすい

 北朝鮮外交の第2の特徴は、いったん交渉を始めると、その意図や目的は比較的読みやすいということだ。

 そういう意味で今回の目的は、トランプ大統領が中間選挙前に北朝鮮との取引で成果を出そうとしている状況を利用して米朝会談を実現し、米国との間で有利な取引をすること。そのため、文在寅大統領を通じて、北朝鮮の友好姿勢をトランプ大統領に対して伝えさせようとしたのだ。

 平壌共同宣言のポイントをまとめると、(1)東倉里(トニャンリ)ミサイル発射施設を専門家の立ち合いの下で廃棄する、(2)米国が相応の措置をとれば寧辺(ヨンビョン)核施設を廃棄するとしている。この2点はいずれも米国を意識したもので、米国の求める核施設の申告、査察、廃棄は拒否しながら、米朝首脳会談を実現させるための代案を考え尽くしたのだろう。

 ミサイル発射場を挙げたのは、米国が米国本土を狙った核弾頭搭載大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発阻止を重視していることを意識したものと思われる。9月9日の建国記念日の軍事パレードに、ICBMが登場しなかったことをトランプ大統領は評価した。また、寧辺の核施設の廃棄については、すでに北朝鮮側から米国側にその意思が伝えられていたもようだ。