安倍晋三総理大臣は、9月14日、自民党総裁選に向けた公開討論会で、「異次元緩和をずっと続けてよいとはまったく思っていない」と明言し、「新しい総裁任期の3年間のうちに出口政策に向けた道筋をつける」との考えを示した。総裁任期は2021年9月までなので、それまでには終了するということになる。
この発言は極めて重要だ。なぜなら、金融市場は将来を予測するからである。緩和政策終了の時点が区切られたのなら、それに合ったイールドカーブが形成される。その結果、現在の金利が上昇してもおかしくない。
他方で、日本銀行は、19日の金融政策決定会合で、金融緩和の維持を決めた。黒田総裁は記者会見で、出口戦略は「あくまで2%の物価目標を達成してから」との考えを示した。
これも重要な発言だ。
ただし2%達成が条件とされているので、それがいつ実現できるかが、今後の日本の金融政策の道筋を決めることになる。
ところが、この極めて重要なことに関して、日銀は曖昧だ。13年4月に異次元金融緩和が導入されたときには、「2年程度で達成」とされていた。しかし、日銀は、これまでに達成時期を6回も先送りしている。
そして、「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」において、それまで「19年度頃」としていた達成時期見通しを、18年4月27日の金融政策決定会合後には掲載しなくなった。
したがって、「消費者物価上昇率2%がいつ実現するか?」を予測することが極めて重要な課題となっている。