◇チーム里庭の活動

 地元の人に地元を知ってもらうために始めたのが、「あたみナビ」という取り組みだ。地域で面白い活動をしている人や地域の課題を取材し、それを発信するWEBサイトを作った。地元の人にもっと熱海を知ってもらいたいという思いがあった。

「あたみナビ」の取材をきっかけにして始まったプロジェクトが、「チーム里庭」だ。南熱海の農地のオーナーである山本進さんは、田んぼを再生し、地元の小学生に農業体験をさせている方だ。著者と山本さんが出会ったことをきっかけに、南熱海の荒れた農地を再生する「チーム里庭」が発足した。

 市役所にあった部署「ニューライフ支援室」の協力もあり、「チーム里庭」は農業体験イベントを実施し、畑で作物を育てていく。このプロジェクトは、熱海に移住してきた方や別荘を所有して熱海を第二の居住地としている人たちにとって、地方ならではの暮らしをしたいというニーズを満たすものとなった。

◇「オンたま」による意識改革

 次に展開したのが、地元の人に地元を楽しんでもらうツアー、「オンたま」である。これは「熱海温泉玉手箱」の略で、地域の人がガイド役を務めるツアーを短期間に多数開催するイベントだ。観光客ではなく、熱海や周辺地域に住む人たちに街の魅力を伝え、熱海ファンを増やすことに重点を置いていた。例えば「路地裏昭和レトロ散歩」と題した街歩きツアーでは、レトロな街並みを歩き、路地裏に佇む喫茶店などを紹介した。

 反応はかなり良く、地元の新聞やメディアにも好意的に取り上げられ、別荘を持つ人や移住してきた人が多く参加した。オンたまによって地元の人々の熱海に対するイメージは激変し、オンたま参加者の満足度の高さが熱海のイメージアップに連動したと分析されている。

◆変化を起こす
◇CAFE RoCAをオープン

 熱海市の中心エリアの入り口に、熱海銀座通りという小さな商店街がある。かつてこの通りは、熱海の人たちにとって憧れだった。

 しかし近年では、熱海銀座はすっかり寂れ、シャッター街と化していた。2011年には、商店街の3分の1に当たる10店舗が空き店舗になっており、熱海のイメージダウンに加担している状況と言えた。