-------家電メーカーの事例-------

「購入したばかりの冷蔵庫が水漏れして、フローリングの床が変色した」

家電メーカーのサービスセンターに、中年男性からクレーム電話が入った。

怒気を含んだ声は迫力満点。電話に出た担当者が事実関係を確認しようとすると、男性はいっそう声を荒げてまくし立てた。

「なにをごちゃごちゃ言ってるんだ!冷蔵庫の中のものが腐っていくじゃないか! すぐに交換しろ!床もびしょびしょだ。床の修繕費を支払え! カミさんはいま妊娠してるんだ。修繕が遅れて滑って転んだら責任をとってくれるのか? それにオレの休業補償をしろ。今日、会社を休んだんだからな」

このケースでは、男性の要求があまりに多岐にわたるため、事実確認と並行して、対応策を検討しなければならなかった。

当日、担当者がお詫びの訪問をした後、現場写真を撮影し、鑑定に1週間程度を要することを伝えた。

最終的に、冷蔵庫の無料修理と床の補修費を支払ったが、それ以上の補償は免れた。

(了)

このように、「今すぐ対応しろ」「すべての要求に答えろ」と言われたときにも、慌てて相手の土俵に上がることなく、必要な時間をかけて、お詫びすべきところだけをお詫びする、ということを意識するようにしてください。

『クレーム対応「完全撃退」マニュアル』では、このようなクレーム事例をふんだんに紹介しながら、対面・メール・電話あらゆる場面における正しい対応法、ネット炎上を鎮火させる方法、高齢化に伴い増加している「シルバーモンスター」の実態と対策など、クレーマーの終わりなき要求を断ち切る23の技術を余すところなく紹介しています。

ぜひ、現場で使い倒していただき、万全の危機管理体制を整えた上で「顧客満足」を追求してください。

(参考記事)
クレーマーの長電話を強制終了する
シャットアウトフレーズ“3連コンボ”