100業種・5000件以上のクレームを解決し、NHK「ニュースウオッチ9」、日本テレビ系「news every.」などでも引っ張りだこの株式会社エンゴシステム代表取締役の援川聡氏。近年増え続けるモンスタークレーマーの「終わりなき要求」を断ち切る技術を余すところなく公開した新刊『対面・電話・メールまで クレーム対応「完全撃退」マニュアル』に需要が殺到し、発売即、大増刷が決まった。
本記事では、「お客様」と「クレーマー」を見分ける1つのヒントを特別掲載する。(構成:今野良介)

「事実確認」と「実態把握」を同時に進める

クレームを円満に解決するには、まず何よりも先に相手をクールダウンさせることが前提です。そして、初期対応で相手の怒りを鎮めることができたら、クレームの実態を把握する必要があります。

その際、気をつけてほしいのは、「事実確認」と「実態把握」を混同しないことです。

事実確認とは、文字通り、「クレームの内容が事実に沿ったものであるかどうかを調べること」です。

たとえば、食品への異物混入を指摘されたら、検体(現物)を持ち帰り、実際にどのような異物が混入していたのか、どの過程(製造・流通・消費のいずれか)で混入したのかなどを調査しなければなりません。もちろん、その前提として、レシートや注文履歴などによって購入の事実を確認することも必要です。商品破損などについても同様に、その事実と原因を検証します。あるいは、従業員の接遇態度に対して、「言葉づかいや振る舞いに配慮が欠けている」という指摘があった場合は、当事者や周辺の従業員に、そのときの様子を確認しなければなりません。

いずれにしても、クレーム対応において事実確認は不可欠です。クレームの主は、その回答を待っていますし、組織にとっても業務改善につながる有益な情報が含まれている可能性があります。したがって、「結果を報告しろ!」「しっかり調査してほしい」という要求に対しては、原則として真摯な態度で臨まなければなりません。電話応対でも対面でも、あるいは文書やメールによる報告書という形でも、きちんとした報告が求められます。

まずは「性善説」を前提に相手の怒りを鎮めることから

一方、クレームの実態把握は、事実確認に加えて、クレーマーの目的や動機も考慮に入れなければいけません。これが難しいのです。「オレの責任か?」「自作自演だと言うのか!」などというセリフが悪質なクレーマーの口から飛び出すことは、珍しくありません。

しかし、実態把握が難しいからといって判断を先延ばしにしていると、その間に担当者のストレスはどんどん膨らんできます。

したがって、一定時間が経過したら区切りをつけ、対応の方針を変えることがとても重要です。私は『クレーム対応「完全撃退」マニュアル』の中で、「5分」と「30分」を目安に、相手の言い分が「正当な要求」なのか、それとも別の目的を持った「悪質なクレーマー」なのかを見分ける方法を提示しています。

本記事では、その1つの方法として、クレーマーから発せられる「サイン」を見逃さないための知識をお伝えします。

悪質クレーマーを見抜く7つのフレーズ

クレーマーの悪質性やしつこさを見極めるのは容易ではありません。外見や態度で見分けることもできないし、怒鳴り声を出しているからといってクレーマーだと決めつけることもできません。

ただ、「納得できない!」というセリフは、警戒すべきシグナルです。この言葉の裏には、「事実確認のための調査が不十分だ」という切実な思いがある場合もありますが、「ゴネれば特別待遇を受けられるかもしれない」という不純な動機が隠されている場合が少なくありません。

このほか、クレーマーとのやりとりのなかで「これはおかしい」と感じることがあったら、注意が必要です。

わかりやすいのは、次のような「脅し文句」です。