援川聡(えんかわ・さとる)
(株)エンゴシステム代表取締役
1956年広島県生まれ。79年大阪府警察官を拝命。95年に大手流通業(株)マイカルに就職。元刑事の経験を生かし、トラブルやハードクレームの対応にあたる。適切で確実な解決術は高い評価を受け、業界団体の講師を務めるなど悪質クレーム処理の専門家として認知される。2002年、「困難なクレームを解決し、企業の危機管理を援護する」をモットーに(株)エンゴシステムを設立。豊富な現場経験と独自のノウハウをもとにリアルタイムで企業、医療機関、役所等をサポート。常に十数社と顧問契約を結び、これまでアドバイスした件数は5000を超える。講演・セミナー講師を年間100回以上務めるほか、新聞・雑誌への寄稿、NHK「ニュースウオッチ9」、日本テレビ系「news every.」、フジテレビ系「プライムニュースイブニング」などテレビ出演も多数。
著書に『現場の悩みを知り尽くしたプロが教える クレーム対応の教科書』、『クレーム処理のプロが教える 断る技術』(幻冬舎)、『超プロがついに明かす クレーマーの急所はここだ! どんな問題もすべて解決!』(大和出版)などがある。

『クレーム対応「完全撃退」マニュアル
100業種・5000件を解決したプロが明かす23の技術』
著者からのメッセージ

次のうち、あなたが「正しい」と思うものに、チェックを入れてみてください。

・クレーム対応では、とにかく「スピーディな行動」を心がける
・お客様第一主義を貫き、常に「目配り」を怠らない
・自分が受けたクレームは、何が何でも責任をもって解決する
・クレーマーも「お客様」だから、顧客満足の視点を忘れてはいけない
・相手が納得するまで、とことん話し合うべきだ
・事実関係がはっきりしないうちは、「お詫び」してはいけない
・相手の理不尽な要求に対しては、論理的に反論するべきだ
・クレームの実態を把握するために、どんどん相手に質問するべきだ
・相手が大声を張り上げたら、悪質なクレーマーとして警戒すべきだ
・クレーマーの本性を暴くために、相手の心情まで踏み込んで考えたほうがいい
・相手の誤解が原因だとわかったら、話の腰を折ってでも、すぐに指摘するべきだ
・「ネット炎上」には最大の注意を払い、特別な警戒態勢を敷く必要がある
・クレーマーの要求に対しては、できる限り補償内容を小さくするべくギリギリまで交渉するべきだ
・どんな相手でも、要求を断るときには、言い分をすべて聞いてからにしたほうがいい
・クレーマーは千差万別だから、事前準備するよりも「でたとこ勝負」するしかない

いかがでしたでしょうか。

実は、上記のチェックリストは、すべて、クレーム対応において「やってはいけないこと」です。

もし、1つでもチェックを入れていたら、あなたは、クレームを長期化させる可能性があります。

全業種対応・全クレームを断ち切る
「完全撃退マニュアル」

私は1995年、39歳のときに、大阪府の警察官から民間の大手流通業(スーパーマーケット)に転職し、クレーム対応や危機管理に従事しました。そして、2002年、クレーム対応専門のコンサルタントとして独立しました。

その後、独立して20年間近く、企業や店舗、病院、学校、役所など、100業種以上にのぼる組織・団体で、クレーム対応の講演やセミナー講師を務めてきました。

同時に、顧問契約と単発の依頼を含め、クレーム対応やトラブルに悩む方々をリアルタイムでフォローし続けています。常時携帯電話を持ち、電話口やメールでのアドバイスを行なうほか、クレーマーと直接対峙することもあります。これまで、解決に導いてきたクレーム相談は、5000件をはるかに超えます。

こうした活動を通じて痛切に感じることは、世の中に、自己中心的でなかなか納得しないクレーマーが日々増殖し、社会環境が悪化していることです。

クレームとは本来、お客様から頂戴する「ご意見・ご指導・ご要望」です。しかし、現代社会においては、サービスを受ける側は便利さに慣れているため、少し待たされることすらも許容できないなど「我慢のできない人」が増えています。

サービスを提供する側が顧客満足(CS=Customer-Satisfaction)を追求すればするほど、便利な世の中になればなるほど、「満足」のハードルは高くなり、不満を感じる人が増え、些細なことで怒りを爆発させる「モンスタークレーマー」が増加するという図式があるのです。

かつて、私は「マニュアル無用論者」でした。

多くの企業で、過去の事例などを元にした「クレーム対応マニュアル」がつくられ、なかには、想定問答集などを含めた数十ページにわたる立派なものもあります。でも、必ずしも有効活用されているわけではないようです。

なぜなら、過去の事例に則ったマニュアルに頼りすぎてしまうと、そこに書かれていないことに対応できない傾向があるからです。また、クレームが発生した現場でマニュアルの該当ページを探している暇などありませんし、分厚いマニュアルの内容を全て頭に叩き込んでおくのも、現実的ではないでしょう。

しかし、現在、クレーム事情は複雑化しています。

消費者からの理不尽な要求は、もはや「お客様の声」として対応できるレベルではなく、「ハラスメント」の領域として社会問題化しています。詳しくは『クレーム対応「完全撃退」マニュアル』で解説しますが、これは「カスタマーハラスメント」と呼ばれ、労働組合や国も対策に本腰を入れ始めました。ひとつ対応を間違えると、ブログやSNSにより瞬時に悪評が拡散する可能性もあります。

また、超高齢化社会を迎えた今、「シルバーモンスター」の存在も大きな脅威です。たとえば団塊世代のクレーマーには、現役時代に培った交渉力を武器にクレーム担当者を「論破」すること自体が目的化したケースが増え、担当者の頭を悩ませています。

そうして中で、クレームの最前線に立ち続けてきた私は、あらゆる業種の、あらゆるクレームに対応し、理不尽な要求を断ち切る「完全撃退マニュアル」の必要性を感じるようになりました。

本書では、個別状況にしか対応できない対症療法的な対策ではなく、私の20年の現場経験で培ったスキルを総動員し、全てのクレームに通じる「原理原則」を、45以上の最新のクレーム事例を紹介しながら余すところなくお伝えします。どんな業種でも、どんな種類のクレームでも、本書のポイントを理解しておけば乗り越えることができます。

また、緊迫したクレーム対応の現場に臨むには、技術以外に「心構え」が大切です。とりわけ、「お客様」と「クレーマー」を見極め、「理不尽な要求を断る勇気」を持ってもらうためのマインドセットについても、随所に盛り込みました。

すべての従業員が本書の内容を理解・実践し、現場の不安が解消されれば、組織に一体感が生まれ、従業員満足度が高まり、離職率の低下につながります。

クレーム対応という「危機管理」を盤石にしてこそ、「顧客満足」を追求する体制が整うのです。


【ダイヤモンド社書籍編集部からのお知らせ】

★発売即、需要殺到。「第4刷」大増刷決定。

★10/1(月)「日本経済新聞」広告掲載、大反響★

『対面・電話・メールまで
クレーム対応「完全撃退」マニュアル
100業種・5000件を解決したプロが明かす23の技術』

援川聡:著 定価:1650円 発行年月:2018年7月
判型/造本:46並製、256ページ ISBN:978-4-478-06843-4
『対面・電話・メールまで クレーム対応「完全撃退」マニュアル
100業種・5000件を解決したプロが明かす23の技術』

100業種・5000件以上のクレームを解決してきた
クレーム対応の超プロ直伝!

モンスタークレーマーの“終わりなき要求”を
完全に断ち切る奥義、全公開!
担当者の悩みに18年間寄り添い続けた、
「心が折れない」話術と技術。

【プロの奥義を完全ノウハウ化!】
・あいづちからの「S言葉」でシャットアウト
・過剰要求を止めて妥協点を見出す「ギブアップトーク」
・悪質性を見極める「3点ピンポイントお詫び法」
・究極のクレーム撃退策「積極的放置」
・ネット炎上は「K言葉」で封じよ!
・最新企業事例と「ベテラン社員」の超活用法 など

●金融、食品製造、輸入品販売、
ネットサービス、小売店舗、自動車製造、
出版、リース、病院、通信機器、
建設・不動産・鉄道・電力などインフラ関係、
小学校、厚生労働省、商工会議所などの
行政・公共団体……etc

あらゆる業種で、今日から使える。
クレーム対応本の決定版!

●最前線のクレーム事情に完全対応!!
最新の「信じられないクレーム事例」を45以上掲載。

社会問題化する一般人の悪質クレーム「カスタマーハラスメント」、
電話・店舗・学校・病院・役所などで「シルバーモンスター」と化す高齢者、
SNS経由の画像・動画拡散によるネット炎上……etc.
全部、バシッと断ち切れる!

●クレーマーの「あるあるフレーズ」さくいん付
「誠意を見せろ!」「オレの責任だと言いたいのか!」
「今、ここで結論を出せ!」「SNSでさらすぞ!」
「丸く収めよう」「精神的苦痛を補償しろ!」
「死ね!」「オレとオマエ、心と心の問題だ」……など、
「今、浴びせられた言葉」から対応法を検索可能。

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【目次】
【はじめに】クレームの「現代史」と最新の傾向
 ★こんなセリフ浴びせられたらどうする? クレーマーの「あるあるフレーズ」目次
【序章】クレーム現場の「ありえない」最前線
【第1章】クレームを完全撃退する!「発生」から「解決」までの手順
【第2章】理不尽な要求は「この話術」で断ち切れる!
【第3章】話の通じない相手を撃退する最終手段は「放置」
【終章】最先端の企業事例とクレームを未然に防ぐ行動習慣