例えば客席面積が100平方メートル以下の中小飲食店は、原則屋内禁煙の対象外になった。規制推進派や医学界からは「骨抜きだ」と非難、不満が噴出している。

 規制推進派の塩崎恭久前厚労大臣が中心となり進めてきた改正案は、2020年に開催される東京五輪・パラリンピックに向けて屋内禁煙の強化を目指すものだった。

 だが内容をめぐり、自民党たばこ議員連盟を中心とする慎重派と党内で激しい衝突が起こった。例外となる飲食店の面積要件もさることながら、最終的にはその例外措置を時限的なものにするか否かで、「塩崎前大臣と茂木(敏充)前政調会長が議論中に怒鳴り合い、最後まで折り合わなかった」と自民党議員は明かす。

 たばこ議連だけでなく、自民党の強力なバックである地方を中心とする中小の飲食店の組合が、とりわけ飲食店での喫煙規制に猛烈に反対していたこともあり、昨年度の法案提出は結局見送られた。

 規制に消極的といわれる加藤勝信議員が厚労大臣に就任して以降、慎重派が巻き返しを見せる中、「法案ができないよりはましだ」(前出の議員)と、規制派も妥協点を探った。そして、今回の法案が自民党の部会で了承された。

 法案では、喫煙可能となる飲食店は約55%で、例外というにはあまりにも多い。だが、その対象は既存店のみだ。今後新たに開店する飲食店に関しては、原則屋内禁煙が適用される。

 これをもって、「慎重派には、これまでの飲食店は保護されていると説明できるし、規制派には飲食店は入れ替わりが激しいので、いずれ喫煙店は自然淘汰されると説明できる。両者が一応納得できる“落としどころ”」というわけだ。