「ウォルマート、ギャップ、コカ・コーラ、ゼネラル・モーターズ、メイシーズは皆、関税が日常的な消費財の価格に影響を与えると予想している。それはいつ起きると思うか」
9月26日の記者会見で、ジェローム・パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長はそう質問された。中国との通商交渉において、同国からの輸入品に広く関税をかけることを米トランプ政権が発表したからである。
パウエル議長は次のように答えた。「それを懸念している。それはリスクだ。今まで価格引き上げが非常に難しかった世界においても、関税は値上げの素地を企業に提供することになる」。
インターネット上の店舗との激しい価格競争などにより、これまで値上げを我慢していた小売業が米国には数多くある。トランプ政権の関税は企業に値上げの口実を与えることになるかもしれないと、FRBは注視し始めている。とはいえ、関税による値上げが消費を冷やしてしまう恐れもある。
不確実性が強い状況だけに、FRBは「緩やかなペースの利上げ」を当面は淡々と続けながら、経済情勢を観察するという。米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーによる先行きの短期金利(フェデラルファンド金利)引き上げ予想(9月時点)の中央値は、今年はもう1回、2019年は3回、20年に1回で打ち止めだ。