経営者保険がもたらす
利益なき繁忙

 二つ目は、収益性だ。経営者保険は保険料の大半を解約返戻金として返すため、他の生保商品と比べて収益性が低い。にもかかわらず、返戻率をやみくもに引き上げてしまえば、さらに収益性が悪化し「解約のタイミングによっては、費差益がマイナスになってしまう」(大手生保幹部)という。

 日生は今春以降、プラチナフェニックスの挽回を狙うかのように、他社の2倍近い水準の販売手数料を一部代理店に支払っている。そのため、商品改定に伴ってさらにコストを掛けるような施策を取ることになれば、「利益なき繁忙」に陥ってしまうというリスクもあったのだ。

 中途半端な改定しかできないのであれば、いっそのこと改定しないという選択肢もあった。それでも、返戻率をネオの商品よりわずかながら上回る水準で改定してきたあたりに、ガリバー日生の意地とプライドがにじみ出ている。

 節税効果をうたう経営者保険をめぐっては、6月にメットライフ生命保険が初の外貨建て商品を発売したほか、11月にはオリックス生命保険も、業界最高水準の返戻率を誇る商品の投入を予定するなど、販売競争は足元で一段と過熱しているのが現状だ。

 その競争から日生がフェードアウトするのと相前後するように、国税当局が全損の根拠となる法人税基本通達の見直しに向けて、早くも動き始めたとの観測が今、業界で広がり始めている。