先週、誰も気づかないうちに「第2次冷戦」が始まったのだろうか。米最高裁判事に指名されたブレット・カバノー氏の承認を巡る論争が大詰めを迎えていた頃、多くの米国人が見逃したのは、米中関係にとって1971年のヘンリー・キッシンジャー大統領補佐官の訪中以来、最大の転機になると思われる瞬間だ。トランプ政権の対中政策がついに姿を現した。それは壮大なものだ。マイク・ペンス副大統領は先週、保守系シンクタンクのハドソン研究所(筆者はそこのフェローを務める)で行った演説の中で、そのアプローチの概略を示した。同氏は中国が「政府ぐるみで」米国への対抗心を燃やしていると非難し、トランプ政権は同じやり方で反撃すると宣言した。また中国政府によるチベット族やウイグル族への弾圧、ハイテク分野の覇権を目指す「中国製造2025(メード・イン・チャイナ2025)」、習近平国家主席の「一帯一路」構想を通じた「債務外交」にも矛先を向けた。まるでロナルド・レーガン元大統領がソ連に対して行ってもおかしくないような演説に思われた。習氏よ、この壁を壊しなさい!といわんばかりだった。さらにペンス氏は、中国による軍事的・経済的・政治的・イデオロギー的な侵略(と米政権が見なすもの)に立ち向かうべく、政府全体にまたがる統合的な戦略の詳細を語った。