この原因はまさしくこれで、「疑惑の張本人」が何をどう言っても信用してもらえない。いくら弁がたつ人間でも多勢に無勢で、何十人もの記者から、寄ってたかって様々な質問を受ければ、必ず辻褄の合わない説明になってしまう。そこを突かれてボロボロになってしまうものなのだ。

マスコミOBの司会者が
いらぬ炎上を引き起こす

 さて、このような致命的なミスを重ねただけではなく、加計学園の会見が、ケーススタディとして非常に素晴らしいのは、多くの組織が良かれと思ってやっている「悪手」も用いているということだ。

 それが(3)の「マスコミOBに会見を仕切らせる」だ。

 今回、加計学園は会見の司会を、加計学園系列の倉敷芸術科学大学で教授を務めている濱家輝雄学長補佐に任せた。濱家氏は元山陽放送のアナウンサーとして定年退職までお勤めになった方である。要は、「マスコミOB」だ。

 アナウンサーでマスコミ業界の経験も豊富なら、さぞうまく会見も仕切ったのだろうと思うかもしれないが、裏方のはずが「主役」として批判の矛先となってしまっているのだ。

《逃げの答弁に終始した加計氏は時折、助けを求めるように“おじいちゃん司会者”をチラチラ見ながら、記者の追及にスットボケた。釈然としない回答で質疑が紛糾する中、困った加計氏を見かねたのか、司会者が突然カットイン。質問する記者に対し、丹田に響くような野太い低音で、「(質問が)揚げ足取りになってしまうので、延々と終わりが見えない質問・答えになってしまう」と言い放ったのだ》(日刊ゲンダイ10月10日)

 このような「マスコミOB」が会見を仕切ると残念な結果にしかならない、というのは、日本大学アメフト部の悪質タックル事件における、監督とコーチの謝罪会見が証明している。司会を務めた大ベテラン風の「広報顧問」が記者の質問を制止したり、挙句の果てには記者と口論になったりするなどして注目を集めたが、実はこの御仁、共同通信社でワシントン特派員や論説委員室長を歴任した「マスコミOB」だったのだ。

「日大は世間をナメている」「危機管理がなっていない」と叩くマスコミに対して、OBとして火消しをするはずが、逆に灯油をぶっかけるようなことをしてしまったのだ。