正しいマスコミ対応を学ばないと
せっかくの説明が水の泡に

 なぜこうなってしまうのか。マスコミの方たちからはクレームが飛んできそうだが、構図をヤクザに置き換えればすぐにわかる。

 例えば、ヤクザから脅される企業があったとしよう。そこでヤクザ対応として、ヤクザ稼業をウン十年やっていたOBを雇った。果たしてうまくいくだろうか。

 うまくいくわけがない。ヤクザ同士で互いに一歩も引かず、凄まじい恫喝の応酬となって最悪、暴力沙汰になってしまうだろう。

 マスコミOBもこれと全く同じだ。これまで説明してきたように、マスコミの人たちは基本的に、いろいろな取材現場でチヤホヤされてきた。加計氏に対する感情丸出しの「お説教」に象徴されるように、常に自分が正しいという大前提で、取材相手の揚げ足取りをして、ネチネチと論破してきた。

 こういうことをウン十年やってきた「マスコミOB」が、かつての自分のように攻めてくるマスコミ記者と対峙すれば、互いに一歩も引かず、不毛な言い争いになるというのは容易に想像できよう。

 もちろん、全てのマスコミOBがそうだなどとは言うつもりは毛頭ない。記者から企業や団体の広報に転職する人は多いし、筆者もそういう人の中で優秀な広報マンや、広報コンサルタントの方をたくさん知っている。

 ただ、そういう人はせいぜい十年かそこらでマスコミをお辞めになった方が多い。このくらいだと、自分の経験も踏まえて、マスコミという人たちを客観的に見ることができるので、広報対応に生かせるし、会見の司会などもうまくできる。

 だが、定年退職までどっぷりとマスコミの世界で生きて、担当企業や業界の広報に天下ったような方は危ない。立場が変わっても、骨の髄までマスコミの考え方や立ち振る舞いに毒されているので、マスコミ対応をしても、ヤクザがヤクザ対応をするのと同じ結末になってしまうのである。そういう「マスコミOB」が引き起こすトラブルを、この世界では非常によく耳にするのだ。

 以上が、加計学園の会見対応で筆者が問題だったと感じた点だ。実は、加計氏自身が疑惑について説明していく姿勢を見せるなど、個人的には評価できる部分もある。そういうところをよりアピールしていくためにも、「正しいマスコミ対応の作法」というものが重要なのだ。

 同じ情報・同じ説明であっても、出し方やしゃべり方によって、「報道」というアウトプットはまったく異なってくる。

 大きなリスクを抱えていたり、既に「逆風」に晒されている企業や組織の方からすれば、加計学園の記者会見は非常に学ぶところが多いケースである。来るべき「情報戦」の参考にしていただきたい。