優秀な反対派が反転、
オンリーワンの推進者に

水戸岡 古宮さんがプロジェクトリーダーになって、のちの進展にはめざましいものがありました。

唐池 もともと仕事のできる人ですから。それに目標到達への意識が人並み外れて強い。それに論理的な人間ですから。理詰めで弁舌鮮やかに反対していた人が賛成に回ると、こうも物事が動くのかと。

水戸岡 「世界一」を目指して、「ななつ星」をつくりあげるなら、ハード面もさることながら、ソフト面も世界最高峰のものを見なくては、とオリエントエクスプレスの視察を企画、実行したのも古宮さんでした。
 列車でスペインを旅しながら、毎朝会議を1~2時間。客室のベッドや水タンクの構造といったディテールから、スタッフのサービスのあり方までほんとうにつぶさに観察・記録して。あの人は仕事熱心で、面白い人なんだけど、冷静さも失わない。

唐池 あのヨーロッパ視察は「僕も行きたい」といったんだけど、古宮さんは「社長はお忙しいから東南アジアを見てきてください」と。そういうわけでイースタン&オリエンタル・エクスプレスでヨーロッパに想いを馳せながら、ひとり視察を行いました(笑)。

水戸岡 それらもすべて発案して、アレンジしたのが古宮さんだったんですよね。

唐池 ほんとうに反対派から賛成派への見事な変貌でしたな。仕事は本当に素晴らしかった。ただし、ひとりの人間として考えると……。

水戸岡 唐池さんは「そのとき運輸部長は寝返ったんです!」といつもジョークにしているけれど、あれはほんとうに見事な人事の妙だったと思います。

「ななつ星」に大反対の運輸部長を<br />「ななつ星」の責任者に据えたら<br />どうなった?<br />過去最高人事の顛末「ななつ星登場!」(写真/森山雅智)
「ななつ星」に大反対の運輸部長を<br />「ななつ星」の責任者に据えたら<br />どうなった?<br />過去最高人事の顛末「寝室」(写真/森山雅智)
「ななつ星」に大反対の運輸部長を<br />「ななつ星」の責任者に据えたら<br />どうなった?<br />過去最高人事の顛末「最後尾7号車のDXスイート」(写真/JR九州)
世界一の豪華列車「ななつ星」